シニアライダーの日常・BMW R1200Rと共に

シニアライダーの日常と記憶、愛車BMW R1200Rと行くツーリングの記録。

アイヌ民族について

 

先日のYahoo!ニュースで、下記の記事を見て、「琉球処分」のことを考えていた時、アイヌの人たちも同じだよなあと思ったことを思い出しました。

 

news.yahoo.co.jp

 

「北海道旧土人保護法」という法律がかつて存在していました。北海道のアイヌを「保護」する目的で明治32年に制定された法律で、「琉球処分」も酷い言葉だと思いましたが、それより格段にひどい、偏見に満ちた表現です。かつてと言っても、何と1997年まで存続していたそうで、制定当時の明治の頃ならまだしも、平成の世までその言葉を使い続けていた言語感覚に驚きです。

 

私がアイヌ民族について一般的な興味以上のものを感じたのは、イザベラバード著「日本奥地紀行」という本を読んだ時で、2017年の北海道ツーリングの際に、登別市白老(しらおい)にあるポロトコタンと、沙流郡平取(さるぐんびらとり)にある二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館にはぜひ寄りたいと思いました。2014年にも阿寒湖畔のアイヌコタンには行きましたが、その時は観光地としての興味しかありませんでした。
イザベラバードは19世紀の大英帝国の女性旅行家・探検家で、これは彼女の1878年(明治11年)の6月から9月にかけての東京から北海道までの旅行の記録です。明治維新当時の日本の地方の風俗や自然を細かく描写してあり、アイヌに関する記述も豊富にあります。
彼女はアイヌの人々に深い愛情と共感を持って接していますが、当時アジアを含め世界各地に多くの植民地を持っていた英国の人ですから、あくまでも支配する側の人間としての、未開民族に対して向ける憐みとか慈悲の心、といった範囲のことのようにも見え、それは和人(日本人)に対しても変わりません。それでも当時の和人のアイヌに対する態度と比べると、格段に優れていると言わざるを得ませんが、、。

 

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

 

 

2020年になって、白老に「ウポポイ」(民族共生象徴空間)という施設が誕生していますが、元々ここにあった「ポロトコタン」の後にできたもので、ウポポイは北海道の先住民族・アイヌの言葉で、「大勢で歌う」という意味です。ポロトコタンは、アイヌ語で「大きな湖の集落」を意味し、アイヌについての施設・博物館としては日本最大だったそうで、確かにポロト湖という湖のほとりにありましたが、ポロト自体が大きな湖という意味だったんですね。
50年以上に渡って、北海道民の多くの方が修学旅行等で訪れた施設だったとのことで、2018年にウポポイ建設の為閉鎖されましたので、2017年のツーリングで私が訪問したのは閉鎖直前だったことになります。

 

 

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また最近になって、この登別出身の知里幸恵(ちりゆきえ)さんという少女と、彼女の残した「アイヌ神謡集」という本のことを知りました。
文字を持たず、口伝でのみ残っていたアイヌ民族のユーカラ(叙事詩)の中から神謡(カムイユーカラ=神様が一人称で語る叙事詩)十三編を選び,ローマ字で音を起してそれに日本語で訳をつけたもので、あの言語学者金田一京助の支援のもとで全て完成し、出版を待つだけとなった1922年9月18日のその夜に、心臓麻痺で19歳という短い生涯を閉じた天才少女です。
アイヌ語は、音をローマ字で追っても正直チンプンカンプンで、日本語訳を読むしかありませんが、当時のアイヌの人たちの世界観や自然への畏れ、尊敬が伝わってきます。そして「序」にある知里さんの、

 

その昔この広い北海道は,私たちの先祖の自由の天地でありました。
僅かに残る私たち同族は、進みゆく世のさまにただ驚きの眼をみはるばかり。しかもその眼からは一挙一動宗教的感念に支配されていた昔の人の美しい魂の輝きは失われて,不安に充ち不平に燃え,鈍りくらんで行手も見わかず、よその御慈悲にすがらねばならぬ、あさましい姿、おお亡びゆくもの……それは今の私たちの名、なんという悲しい名前を私たちは持っているのでしょう。激しい競争場裡に敗残の醜をさらしている今の私たちの中からも、いつかは、二人三人でも強いものが出て来たら、進みゆく世と歩をならべる日も、やがては来ましょう。それはほんとうに私たちの切なる望み、明暮祈っている事で御座います。

 

という言葉が、滅び行くアイヌという現実を諦めと共に受け入れながらも、せめて「起伏す日頃互いに意を通ずる為に用いた多くの言語,言い古し,残し伝えた多くの美しい言葉」を残したいという痛切な思いを感じます。それすら消えてしまうのは「あまりにいたましい名残惜しい事」として、本書を執筆したと述べています。

 

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

  • 発売日: 1978/08/16
  • メディア: 文庫
 

 

 

後日、平取の二風谷アイヌ文化博物館等にも予定通り立ち寄りましたが、当時はまだ半分現役でしたのでツーリング日程も窮屈で、駆け足の見学になったことが残念です。次は各地にある他の施設も併せて、もっとゆっくり見学したいと思っています。

 

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