シニアライダーの日常・R1200Rと共に

シニアライダーの日常と記憶、愛車R1200Rと行くツーリングの記録と四方山話。

行きつけのお店

 

今の住まいに越してきて26年、既に人生で最も長く定住した場所になっています。2番目に長いのは生まれてから浪人生活含め19年間を過ごした四国ですが、それ以降は結構頻繁に引越しを重ねましたし、勤務した会社も全国転勤が普通にあるところでしたので、ここまで一か所に定住することになるとは思っていませんでした。

 

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定住生活が長くなると、業種に関わらず馴染みのお店というのがだんだん増えてきます。中でも飲食店はその傾向が強く、色んなジャンルで「ここ」というお店ができました。私は全くグルメではありませんので高級店志向は無く、ただ自分が美味しいと感じられればOKなのですが、そんな親に育てられた子供たちも、そして私が育てた訳ではない家内もそのへんの嗜好は良く似ています。

 

越してきた当時は、決して都会とは言えない自宅周辺にも多くの個人営業の飲食店があり、出前も蕎麦、中華、寿司と揃っていたのですが、今ではほぼすべて廃業してしまいました。大手資本のチェーン店に駆逐されてしまったというのが実態ですが、無くなってしまった店の中では、ウチの目の前にあった中華料理店が一番懐かしいです。今のマンションを購入する前、下見や内覧会で来ていた時に見つけていた店で、カウンターと数卓のテーブルだけのいわゆる町中華なのですが、イメージ通りのチャーハンとラーメンが大好きでした。親父さんが病気で倒れ閉店となってしまったことがとても残念です。

 

勿論今も続いている店もあって、それが我が家の行きつけの店になっている訳ですが、そういう店はやはり何か違うものを持っているんだと思います。ウチが通う店としては、ラーメン屋(餃子が絶品)、焼き肉屋(肉の質は高級焼肉にも負けないと思う)、韓国家庭料理(サンギョプサル、チヂミ最高)、ピザ・パスタ専門店(ペスカトーレ大好き)、ラーメン専門店(北海道の有名店の弟子?味噌ラーメンが美味しい)、蕎麦屋(鴨蕎麦が有名だけど、いつも舞茸そば)などで、十分と言えば十分です。寿司屋は無くなってしまいましたが、回転ずしで結構うまい店が一軒ありますのでそれで間に合います。

 

そんな中の一軒であるラーメン屋さん(餃子の旨い店)が、昨年急に閉店してしまいました。基本的には老夫婦で営業していて、繁忙時にはお手伝いのやはり年配の女性が入る、という方式の本当の個人店で、我が家では20年以上前から通っていました。
ここはラーメン屋なのですが餃子が他にはない味で、とても美味しかったのです。餡は少なめ、胡椒・生姜が効いてピリッとしており、小粒な餃子で皮はパリッと焼けています。最近では大ぶりでもっちりした餃子が多い中、ここのは特別好きでした。
月1~2回しか行かない、常連とは言えない客ですが、それでも子供たちの事を憶えていただいて、食事が終わるころに、アイスとかヨーグルトとかを寡黙なご主人がそっと出してくれました。

 

昨年いつものように家族4人で訪れたところ、事情により急遽閉店との張り紙があり、店内にも人の気配がありません。ウチの家族は、幾つかの行きつけの店の中でもここが一番好きと全員が言う位の御贔屓の店でしたので、とてもがっかりしました。
ご高齢でもあったので、もしかしたらとは思いましたが、やはりご主人が亡くなられたのだそうです。それを知ったのは偶然ネットでこの店の再オープンを伝える記事を見た時です。

 

別のところでやはり調理の道を歩んでいた息子さんが、お父さんの遺志を継いで再開にこぎつけたということでしたので、ちょうど帰省していた息子も誘って早速家族4人で訪れました。息子さんらしき人が厨房で頑張っています。餃子は懐かしい味そのままでとてもおいしかったです。ただラーメン類は、みなそれぞれ味噌、醤油、塩とバラバラに注文したのですが全員前の味とは違うとの感想でした。まずいとか言うのではなく、以前とは違う味になったということであって、私にはむしろ好みの味でした。

 

後で見た記事によれば、息子さんは、お父さんが亡くなる前に後を継ぐという意思を伝えることはできたものの、レシピを引き継ぐ余裕はなく、ラーメンは味の再現を諦めて、自分の味で再スタートしたのだそうです。そして看板である餃子の方は、古くからいた手伝いの女性がたまたま調合を憶えていたことと、お父さんが作り置いた餃子が冷凍庫の隅に幾つか残っていたのを発見して、そこから味を再現することができたのだそうです。何だかドラマの世界の話みたいですが、後を継いだ息子さんには頑張って欲しいですし、我が家もせっせと通うことにします。

 

 

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