昨年末、近所の歯医者さんで虫歯を指摘され、元旦早々奥歯の詰め物が取れてしまったりしたこともあって、その後3カ月以上計11回通院しました。ちょっと歯のクリーニングでもという積りで行ったものが思わぬ長期戦となり、今日ようやく無罪放免されました。いえ、無罪ではないですね、10回以上も治療に通ったわけですから、刑期を終えて出所した、という方が正解でしょうか。
まあ最後に歯医者さんにお世話になってから10年以上経ちますから、虫歯ができていても不思議はないですし、それ自体文句はないのですが、歯医者さんって「ひとまずこれで良いでしょう」となるまでに随分時間がかかります。
そもそも一回当たりの治療時間が短いことは他の医者も同じなのですが、歯科の場合は、まず歯科医が診察・処置をし、歯科衛生士に指示をする。歯科衛生士は歯科医の指示を受けて、治療の準備や治療後の後処理、クリーニングをする。そして必要に応じて歯科技工士が義歯等の製作をする、という風に分担しますから、相当多くの時間を要するように思います。また歯科技工士は歯科医院とは別のところにいることが多い(それが普通?)ですから、義歯等が出来上がるにはそれだけで長い時間がかかります。
私が通った歯科医院は、歯科医は二人だけですが診療台は6基あり、初診の場合は歯科医の先生がまず診察をし、治療方針を決めて患者に説明し、合意を得れば、最初は歯科衛生士の出番です。彼女ら(この医院では歯科衛生士は全て女性で、5~6人います。)にてきぱきと指示をして、その間に先生は他の診療台に移っていきます。常に6基の診療台は埋まった状態で、先生はクルクルと診療台を回っています。なかなかのフォーメーションで、効率が悪いということは一切ありません。何か日本料理屋の板場で、下働き、煮方、椀方、焼方などが親方の差配通りにくるくる働いて、最後に親方が料理の最終確認をする、という雰囲気に似ています。もっともこの板場の話は映画等で見ただけのもので、殆ど想像の世界ではあるのですが、、。
またこの時期改めて考えてみると、歯科医院って呼吸器系の感染症にはとても危険な場所でもあります。患者は無防備に口を大きく開けますし、医者、衛生士はその至近距離でのぞきこむようにして診察、治療、処置を行います。もっとも、双方にとって感染症リスクが高いのは歯科医の世界では先刻承知のことで、盛んに「我々は感染症対策のプロです。安心してお任せ下さい。」というアピールをしています。確かに新型コロナが存在していない時には、患者側は何の対策もせず治療に訪れていた訳で、むしろ今の方が患者側の意識が高まった分、リスクは低減していると言えるのかも知れません。歯科医は通常時から自分が感染源にならないことに加え、被感染者とならない防護法も身に着けているということなのでしょう。