シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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レンズマン・シリーズ

 

一年ほど前に「宇宙英雄ペリーローダン」というSF超長編の事を書いたのですが、この作品にも大きな影響を与えたと思われる、「レンズマン・シリーズ」という作品があります。
少し前に「レンズマン・シリーズ」とタイトルに入った記事を見かけて、久し振りに見たこの名前に興味を惹かれて読んでみると、内容はこの作品の著作権保護期間が2015年に作者の死後50年経過したことにより終了し、パブリックドメインが成立した、ということを書いた記事でした。この内容自体にはあまり興味はなかったのですが、日本でも期間は70年に延長されているのに米国ではまだ50年なのかと感じて、記憶に残りました。
そしてこれをきっかけにレンズマン・シリーズに触れてみたいと思って、ついでに米国著作権について調べてみたのですが、やはり1998年に70年に延長されているみたいでした。それ以上詳しく調べてないんですが何かの勘違いなんですかね? 

 

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私がペリーローダン・シリーズに出会ったのは20代半ばですからもう40年も前のことになります。そこからちょっとしたSFマイブームが始まり、ハヤカワ文庫や創元社文庫をあさるようになって、レンズマン・シリーズにたどり着きました。もっともSFマイブームとはいっても、私は専らこの2作に代表されるようなスペースオペラ的作品を好んで読んでいました。
宇宙を舞台とした絶対正義と絶対悪の対決という割と単純な設定、勧善懲悪のわかりやすいストーリーは読みやすく爽快感もあって、水戸黄門や大岡越前等の時代劇にも通じるものでした。しかし大衆受けし易い反面、SF原理主義の人たちからは、スペースオペラなんかSFじゃない!という批判を浴びることにもなっているみたいです。どの分野においても原理主義者は存在していて、いちいち面倒くさいなあと思うのは私だけ?

 

 

私が先に読んだのはペリーローダン・シリーズですが、これは1961年の刊行であり、レンズマン・シリーズは、アメリカでE・Eスミスという作家が1937年に発表した作品ですから、こちらの方が大先輩ですね。スペースオペラというジャンルを確立した作品とも言われています。

 

1937年の年表を見てみると、盧溝橋事件、日独伊防共協定、イタリア国際連盟脱退と世界大戦の足音が徐々に近付いている時期です。
スペースオペラの形式は、上にも書いたように宇宙を舞台とした絶対正義と絶対悪との戦いで、当然絶対正義が勝利するというものですから、米国民に対して、絶対正義である我々米国民は、一丸となって絶対悪である日独伊枢軸国を撃破しなくてはならない、という戦意高揚の役割も果たしていたのではないかと思います。
そのことに触れたものを見たことはありませんが、日本にも御用作家と後に呼ばれた作家がいて戦意高揚の作品を作っていたのと事情は変わらないのでは?と思います。

 

とはいえ、そんな背景は抜きにしてもこのレンズマン・シリーズは純粋に面白かったです。私がレンズマンシリーズにたどり着いたのは1990年代に入った頃だったのですが、当時でも既に60年近く前の作品であったにも関わらず、古さを感じさせませんでした。
1960年代に刊行されたペリーローダン・シリーズは、当時夢の技術であった(であろう)原子力を究極の動力源として描いていて、1980年代でも既にそのことにやや古臭さを覚えたものですが、レンズマン・シリーズの1930年代にはまだ原子力はそこまで現実味を持っておらず、かえって自由に想像を飛躍させることができている気がします。

 

そして、宇宙を舞台とした絶対正義と絶対悪の戦い、ある特殊な能力・武器を持った者たちの戦い、という点ではジョージ・ルーカスの大ヒット映画「スター・ウォーズ」も間違いなくこの作品の影響を受けていると思います。
多少ネタバレですが両者を比較してみると、レンズマン=ジェダイ、レンズ=フォース、アリシア人=銀河共和国(反乱同盟軍)、ボスコニア=銀河帝国というわかりやすい対比が見られますし、主人公が長老の元に修行に行くという、そっくりな場面もあります。

 

我が家ではこのレンズマン・シリーズの文庫本は息子に引き継がれ、今も彼はこの7冊のシリーズを手元に置いているようです。息子もこれをきっかけにSF好きとなり、宇宙や天体にも興味を持つようになったのですが、その後宇宙とは関連しないものの、理系に進んだことに、多少の影響は与えているのかも知れません。

 

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