シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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「NATO(ナトー)」とは?

 

多くの人は、NATOといえば学校の頃習った、北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization)のことだと思うでしょう。最近でも、対中抑止を目的とした日米豪印4か国の枠組み「クアッド(Quad)」は、太平洋版のNATOだとか言われて新聞等に登場しています。

 

しかし、少し前に目にした「NATO」は全く別のものでした。
それは(No Action Talk Only:話は聞くものの実行がない)の略で、最近の日本人・日本企業の優柔不断さを海外の企業が皮肉る時の言葉です。

 

日本企業は、アジア諸国やシリコンバレーに頻繁に訪問しますが、それは情報収集的ものであったり表敬訪問的なものであったりすることが多いです。そういった日本企業は世界的にも名の知れた大企業が多いので、当然相手は何かビジネスの機会になるだろうと期待して時間を割いてくれるのですが、日本側は社内で検討すると言って、その場を去り、どれだけ待ってみても、何の進展もないのです。そしてその結果、NATOの日本企業は嫌われ者となっているのだそうです。

以下はその記事の要約です。
ビジネスは、当然ながら一分一秒の時間の勝負で、誰しもが生産性のない仕事に時間を費やしたくはないし、大手の日本企業が話をしたいと言ってくれば、何か提案があるのでは、と思うに決まっています。
しかし彼らは何の前向きな話も持って来ず、はっきり言ってしまえば、日本企業は人の時間を浪費することに何の罪悪感ももたない「クレクレさん」です。先進国である日本には大企業がひしめき合っていますが、そういう組織では新たな事業にインパクトを求め、最初から大きな成果を求めてしまうので、小さなビジネスを大きく育てようという観点が全く欠けていて、勢いのあるアジア諸国やシリコンバレーのようになれないのはこれが原因です。
小さく始めたビジネスは、大きく育てることができればさらなる利益を生む、というのが勢いのある国の人たちの観点です。したがって、重要なのは小さくビジネスを立ち上げたあとの活動量なのです。原則として、成果は知識を得る時間、思考の質、活動の量によって決まりますが、一流と呼ばれる日本企業の多くは、活動量が足りません。つまり、知識や思考はあれども、試行錯誤によって成果を上げようという姿勢が日本には足りないということになります。
ということなのですが、要は「何はともあれやってみることである」と著者は結んでいます。

 

日本企業にも当然そうではない企業もあって、サントリーの「やってみなはれ」精神などは有名ですよね。しかしサントリーは大企業であっても創業家が存在するオーナー企業ですし、トヨタも以前は万人受けのするクルマばかり作って、手堅いけれど面白くない企業と感じていたのが、創業家社長が復活してからはクルマ作りや戦略がとても躍動的になった気がします。「やってみなはれ」「何はともあれやってみろ」と言える存在があるかどうかで大きく変わるのでしょうかね。確かに中国や韓国の企業も、大企業であってもトップの即断即決でドンドン進めていくという印象が強いです。
私が勤めた企業も、入社時から定年退職の時までに相当規模拡大しましたので、小規模だったころの身軽さ、俊敏さが大きくなるにつれて無くなっていったことは実感していました。入社当時は確かにあった「とにかくやってみよう」という雰囲気はどんどん薄まっていき、前例は?とか、投資効率は?とかを説明する資料が沢山付属し、承認印がずらずらと押されるようになってきました。

 

同様な言葉で「4L」(Look Listen Learn Leave:視察し、話を聞き、学ぶだけで、(投資の実行や決定を行わずに)帰っていく)というのもあるそうで、これも情けない話ですよね。

 

世界には古くから続く文明が数多くありますが、今も繁栄を保っている国がある一方で、遺跡でしか往時の繁栄を感じることができない国も沢山あります。
千年後の日本には当時(現在)の大企業の本社遺跡だけしか残っておらず、外国からの観光客がこの頃の日本って凄かったんだね、という会話を交わしている、ということにならないことを祈ります。

 

 

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