4回目の新型コロナワクチン接種後の自主待機期間に何本かの映画を観たのですが、「家へ帰ろう」「レインメーカー」に続く第3弾はダニエル・クレイグ主演の「ナイブズ・アウト」です。ダニエル・クレイグといえばやはり「007シリーズ」ですが、今回は探偵役で、役柄としては前回観た「ドラゴンタトゥーの女」とよく似ています。
007といえば私などの世代には初代のショーン・コネリーの印象が強く、また彼が乗り回したアストンマーチンDB5や、日本を舞台にした「007は二度死ぬ」で使われたトヨタ2000GTには憧れたものです。ただイアン・フレミングの原作では最初の愛車はベントレーとなっており、映画でもアストンマーチンが登場したのは3作目の「007ゴールドフィンガー」からです。また2代目007ロジャー・ムーアの時のボンド・カーはロータス・エスプリでしたが、これは水陸両用で潜水もできるクルマで、水中に潜ってるよとびっくりしたものです。
007というネーミングは、石森章太郎(石ノ森章太郎)の「サイボーグ009」という漫画と何か関連があるのかと当時考えていたのですが、これは映画やイアン・フレミングの原作から着想したという事を石ノ森さんご本人が語っているそうで、その事実も今回初めて知りました。
そしてサイボーグ009には007というサイボーグも登場するのですが、彼はジェームズ・ボンドと同じく英国人で、その名もグレート・ブリテンだったそうです。当時漫画を読んでいる時には国籍も名前もまったく意識していませんでしたが、偶然ではなくジェームス・ボンドに倣ったものなんでしょう。ただサイボーグ版007の禿げ頭はジェームズ・ボンドらしくはないです。(ショーン・コネリーは晩年カッコいいハゲ親父になりましたが、、)
6代目ジェームス・ボンドのダニエル・クレイグですが、15年間で5作品に登場し、これまでの俳優陣では最長・最新ですから、今や007といえばダニエル・クレイグなのでしょう。ただ彼も最新作の「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」でジェームス・ボンド役は終えており、この「ナイブズ・アウト」はその直前の作品のようです。
最後にやっとこの映画の話をちょっとだけですが、これは「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリーなのだそうで、確かにアガサ・クリスティっぽい雰囲気は感じました。アメリカのマサチューセッツにある邸宅が舞台の密室殺人事件で、キャプテンアメリカのクリス・エバンスも重要な役柄で登場します。彼は単純明快なアメリカン・ヒーローを演じる俳優だと思っていたのですが、ここでは意外な役柄を好演しています。
「ナイブズ・アウト(knives out)」のそのままの意味は、「ナイフが出た状態」を意味し、「The knives are out」となると「矛先が向けられる」、要は相手を疑ったり信用していない時に使われる言葉なのだそうで、徐々にその意味も判ってきます。
このナイブズ・アウトには続編の構想もあるようですが、それも楽しみになるような好映画だったと思います。