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帚木蓬生著「守教」を読みました。

 

ここのところ、キングダムという長編アニメに嵌ったりして、なかなか本を読む時間がとれていませんでしたが、キングダムも観終わりましたので、長い間放置状態だった、表題の「守教」という小説にとりかかり、先日ようやく読み終えました。

 

 

 

 

 

題名で察しがつくかもしれませんが、「教え」とは、戦国時代フランシスコ・ザビエルによって布教が始まったとされ、西日本を中心に大きく広がったキリスト教のことで、「守る」とはその後江戸時代にかけて激しい弾圧に耐え、隠れながらそれを「守った」九州の隠れキリシタンたちの話です。

 

キリスト教弾圧という題材の小説でまず頭に浮かぶのは、やはり遠藤周作の「沈黙」でしょうし、私も若い頃読んで大きな衝撃を受けました。結構トラウマレベルといってもいい位です。断捨離の一環で蔵書の殆どを処分した時、時間ができたら読み返したい本として少数残した中にも入っているのですが、正直読み返す気力はありませんでしたし、数年前映画化されて評判になった時も観に行こうとは思いませんでした。神は何故「沈黙」を続けるのか、何故我々の苦難を見過ごすのか、という弾圧に耐え続ける者、あるいは弾圧に負け棄教に至る者の叫びがとても重かったです。

 

これまでほぼすべてを読んでいる帚木蓬生の著作ですから買ってはみたものの、そんな経緯もあって、最初ちょっと読みかけたままで放置してしまっていました。キングダムというアニメを観始めたのも、これからの逃避という面もあったのかも知れません。
しかし、長編のキングダムも観終わってしまい、もう一冊購入していた「葉隠れ」も読んでしまい、いよいよ覚悟を決めて読み始めたところ、意外とすんなり入り込めて、合間合間での読書で一週間程でした。買ってからは数か月経過していますが、、。

 

巻末の解説にもありましたが、大げさな表現や過度な演出のない、帚木蓬生特有の淡々とした冷静な文体のせいもあるでしょうし、物語の初めはキリスト教があっという間に広がっていく発展期ですから高揚感もありました。
ただ我々は既に天草の乱などで悲劇的な結末を迎えることも知識として知っていますし、いくら明るい場面でもその重苦しさがあるのは事実です。

 

「沈黙」のストーリーはほぼ憶えていないのですが、この「守教」には転び伴天連(棄教させられた宣教師)のフェレイラ神父という人物が登場し、彼が「沈黙」でも重要な登場人物だったことは思い出しました。

 

そして読後感ですが思った程は重くありませんでした。もちろん弾圧・処刑の場面は陰惨ですし、読み返したいとは思いませんが、この小説の主題は題名のとおりその後も隠れキリシタンとして教えを守り抜いた人たちの話ですから、「沈黙」とはかなり違いました。物語は、幕末の混乱期に再上陸した宣教師たちによって、二百数十年もの間隠れて信仰を守り続けた彼らが驚きと共に迎えられ、明治維新後に復権するところで終わります。

 

読み終わったところで、今度も同じ帚木蓬生の「ソルハ」という小説を買いましたので、この読後感はまた紹介します。児童書ですが大人にも読みごたえがあるとのことで、前のタリバン政権下のアフガンが舞台ですから、こちらも重そうな予感です。

 

 

 

 

 

 

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