シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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食料品泥棒は罪じゃない?? 

 

先日ネットで読んだ記事でちょっと考えさせられることがありました。話自体は単純で、カナダのある街で万引き犯の逃走を阻止したお婆さんの動画を紹介する記事だったのですが、その記事に対するアメリカ人のコメントが「??」だったのです。

 

店の従業員は何をやってるんだ?
お婆さんじゃなくて従業員が万引き犯を止めるべきだろ。

従業員でもないお婆さんにこんなことやらせるな、従業員は何してるんだ?

行動は勇敢だったけど、これは暴力を振るわれて怪我をするリスクもあったよね。

この男がお婆さんに暴力を振るわなくて本当に良かった・・・

ホーム・デポでは万引き犯を止めようとした人が突き飛ばされて死んでるからな。

ここは警備員はいないの?

 

このあたりまではごく普通の反応だったのですが、

 

彼が盗んでいたのは食料品だったようだ。食べる物にも困っていたのかも知れない。

盗んでいたのが食べ物なら好きにさせてやれよ。確かに盗みは悪いことだが、最近は皆生活も苦しくて生きる為に盗みをしなければならない人々もいるんだ。

大手チェーン店での万引きくらい、そこまで悪いことだとは思わない。大企業のスーパーで万引きしてる人を見かけても、自分だったら止めようとしないだろう。それが家族経営の小さな店だったら止めるけどね。

ウォルマートで万引き犯がいても無視するけどな。このような大企業は少しくらい損失が出たって何も影響ないだろ。

ウォルマートは昨年1380億ドルも稼いでる。万引きする奴がいても好きにさせれば良いんだよ。万引き犯を止めようとして客がリスクを背負う必要などない。

 

このあたりからは「??」の連続でした。
勿論、万引きを止めるために客がリスクを負う必要などない、という点はよくわかりますが、生活のための食料品なら盗んでも良い、その対象が大企業なら尚更、という論調には違和感ありまくりです。
勿論、窃盗を容認するってどういうことだ?という意見も多く、万引きを放置すると企業は損失をカバーする為に値段を上げることになり、最終的に我々一般市民がその代償を負うことになるんだ、という論理的な意見もありましたが、食料品なら盗んでも良いという点が議論になること自体が私には驚きでした。

 

一方では「米ウォルマート従業員 激しい暴力行為で万引き犯を死亡させる」みたいな記事もあって、それぞれ個々の事例ではあるのですが、何だかアメリカ社会はよくわからないというのが実感です。

 

そこで思い出したのが、「食料品泥棒」ならぬ「花泥棒」です。「花盗人は罪にならない」と昔から言われてはいるようですが、他人の庭や畑から花を盗めば、これも歴とした窃盗なのは間違いありません。
この言葉は、「花盗人(はなぬすびと)」という狂言の、桜の枝を盗み取ろうとして捕らえられ桜の幹に縛りつけられた男が歌を詠んで、それが人々の感動を呼びその罪を許された、という話から来ているのだそうです。やはりこの狂言の中でさえ罪でない訳ではないのですが、ここから「花盗人は風流の内」とか言われ始め、よその庭の桜を一枝折り取ったりするのは、確かに良い行いではないが、その美しさに惹かれた風流心によるものだから大目に見てやるべきである、などと解釈されるようになったのだとか。花を愛する人には悪人はいない、と言いたいのだと思いますが、昨今ではどうみても大目には見てやれないような、可愛げのない花泥棒も多いようです。

 

また「花」に妙齢の女性という意味を持たせ、人の恋人を盗むという意味で表現したりもするようで、和泉式部の恋人とされた敦道親王という方の歌に「われが名は花盗人と立てば立てただ一枝は折りて帰らん」(和泉式部集)というものがあって、これは当時世間の注目の的であった和泉式部を花に見立てたものなのだそうです。こちらはいかにも風雅ですねえ。

 

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