前日は思わぬ災難で約半日がつぶれましたが、この日は道北からまた道央・道東に戻る予定で猿払の道の駅を出発しました。
最北の地稚内での桜鑑賞は実現したのですが、北海道ではまだ桜が満開を迎えていない道東が残っています。来た道を網走まで戻って、知床・根室方面に向かうのが最短コースですが、それでは桜の満開には早すぎる感じでしたので、道央へ向けて北海道の背骨的なルートを南下して、観光しながら道東に向かうことにしたのです。
猿払の道の駅での車中泊は強い風雨に加えて冷え込みも厳しく、朝起きた時の車外の温度は零度、車内も1.9℃と今回の旅での最低気温でした。
頭にはニットキャップ、靴下を履いて、下には電気毛布を敷き、自宅で使っている羽毛布団に封筒型ダウンシュラフを展開して重ねる、という態勢で寝ていたのですが、この夜もこれで乗り切ることができました。電気毛布は弱から中の間くらいですから、まだ余裕はありそうです。
ただこの夜は、強い風と冷え込みの中、傘をさしてトイレに行くこととなりましたので、その間に足元が濡れてしまい、寝巻としているスウェットを着替えたりしている内に眠気が飛んで、寝そびれてしまいました。
猿払を出発して、前夜当て逃げ事故に遭った浜頓別まではオホーツク海沿いの道を戻りますが、その間に前日最初の立ち寄り場所としたエサヌカ線があります。前日は大急ぎで道の駅に戻る羽目に陥りましたので、再度寄って行くことにしました。人気となるだけあって、いかにも北海道、という道路です。
北海道に直線道路は数多くありますが、ここはひたすら一直線に牧草地の中を突き抜ける道路で、道沿いに電柱や看板もなく視界を遮るものがないために、広大な地平線を実感できるのがライダーたちに人気なのだと思います。私もバイクで来た時には写真を何枚も撮ったものですし、この日もハイエースを路肩に停めて撮影したのですが、その間一台のクルマもバイクも来ませんでした。ゴールデンウィーク真っ只中だったのに、、。
浜頓別からは内陸に入り込み、国道275号線・40号線を、音威子府・美深・名寄と南下して行きます。音威子府駅には、少し前まで真っ黒な蕎麦として有名な音威子府そばがあったのですが、製造元が廃業したことで存続できなくなり、いまは駅舎に店舗跡だけがあります。こんなことなら以前バイクで来た時に食べておけばよかったと思ったものですが、現在「新音威子府そば」として、千葉県茂原市の「音威子府食堂」と、東京都新宿区の「音威子府TOKYO」がこれを再現しているのだそうです。一度茂原の店には行って見たいですね。
音威子府から天塩川沿いにすこし遡ると、「北海道命名の地」という所があります。北海道の名付け親とされる松浦武四郎がこの地でアイヌの古老から聞いた話を基に北海道という名前を思い付いたのだそうです。
音威子府からさらに南下すると美深があります。そこの道の駅で休憩したのですが、ここは町を挙げてチョウザメ推しです。以前からチョウザメ館というものがあり養殖に取り組んでいることは知っていたのですが、チョウザメが以前は天塩川を多く泳いでいた遡河魚(そかぎょ)だという事は初めて知りました。鮭鱒の仲間なんですね。チョウザメの卵であるキャビアは以前からチョウザメ館のレストランでは提供されていたのですが、数年前にようやく市販化にこぎ着け、それは初めて養殖に取り組んでから実に40年近くの試行錯誤の末だったのだそうです。
そこからまた南下を続け、名寄という沿線では一番大きな街に着きました。ここで丁度昼時でしたので、名寄出身の知人から情報収集して「亀きん食堂」というラーメン屋(中華料理店?)に行くことにしました。中々迫力のある個性的な外観で、聞いていなければ一人で入る勇気はなかったと思いますが、内装は山小屋風にきれいに改装されていて外観とはかなり印象が違います。地元では長く愛される有名店との事で、確かに店内は11時半過ぎで既に満席、カウンターの端っこに一つ空いていた席に運良く座れましたが、私以降は行列となっていました。
何だかすごく空腹でしたので珍しくラーメンライスを注文したのですが、醤油ラーメンは縮れ麺に濃厚スープでとても美味しかったですし、ザンギもついてきて、ご飯があって丁度良かったです。かなり満腹になりましたが、、。
そこから更に進んで、士別という街で車中泊と思ったのですが、ここの道の駅がちょうどイベントの最中でしたし、駐車場もあまり広く無かったですから少し先の剣淵という街の道の駅で車中泊としました。近くの温泉施設で入浴した後、コンビニで調達した食料で夕食を済ませ、すぐに眠ることにしたのですが、ここは周囲を畑に囲まれていて、道の駅は肥料の香しい(?)匂いに包まれていました。都会育ちの人には耐えられなかったかも知れません。
このあたりでは既に桜は散り始めていましたが、沿線で咲き残っている桜にその都度立ち止まりながら、この日の走行距離は150km程度とのんびりした一日でした。