私は元々ロングスリーパー体質で、70歳となった今でも、8時間寝ないと寝足りない感じがします。
若い時と違って8時間寝通すなどということはまずできなくなり、3~4時間寝たらトイレに起きてまた寝る、というのがパターンなのですが、最近ではそのトイレの時間から眠れなくなってしまい、朝方までベッドでコロコロ寝返りを打ったりスマホを眺めたりという事が多くなりました。次の日何もなければ朝になって眠気が来てから寝直しても問題は無いのですが、そうもいかない日はずっと寝不足感を抱えたまま過ごすことになります。
4年前にも同じようなブログを書いていましたから、サラリーマンとして定時に出社する生活から解放されたことでかえって睡眠のリズムが狂い、寝付かれなくなったのかも知れません。
そういえば、若い頃「眠りを減らせ!」という本を買ったことがありました。例えば一日4時間睡眠で生きて行けば8時間寝ている人より25%長生き、80歳の平均寿命を20年延ばして100歳まで生きるのと同じことになるという、今思えばかなり乱暴な理屈です。当時はバブル景気の最終盤で、「24時間戦えますか?」というCMが一世を風靡していて、8時間以上ものんべんだらりと寝ている私は肩身が狭い思いがあって、この本を手にしたのでしょう。
とうに絶版となってしまったようですが、Amazonでは今でも検索でヒットしました。もう忘れていましたが、エベレット・マットリン著・竹村健一訳で、「知的生きかた文庫」という、あざといネーミングの文庫でした。竹村健一、知的行きかた文庫、というあたりで当時の意識高い系の層を狙った本だという事がわかりますが、私はまんまとその戦略に乗せられた訳です。
勿論この説が成立するためには、人の睡眠は4時間でも8時間でもまた12時間であっても健康に影響はない、という前提が必要となります。いくら4時間睡眠で頑張っても健康を害して60歳で死んでしまえば元も子もありません。
ただそれでも平均寿命である80歳まで生きただけの活動時間(起きていた時間)は確保した、と言うことはできますが。
厚労省のデータによれば、必要な睡眠時間は年齢によっても変化し、15歳前後では約8時間、 25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、65歳では約6 時間というように、成人後は20年ごとに30分程度の割合で減少するのだそうです。そして睡眠不足と同様に長時間睡眠も寿命を縮めると言われているようで、やみくもに睡眠時間を減らすのが得策でないのは当然としても、70歳の私が8時間寝ようとするのも完全に寝過ぎという事になります。
一方では人間の脳細胞は8時間寝ないと活性化しないという説もあり、どちらが正しいのか迷うところです。
また睡眠時間は国別にも大きく差があって、日本はOECD加盟国中最短の7時間22分、次いでお隣韓国の7時間51分、最長は南アフリカの9時間13分、次いで中国の9時間2分となっています。
これは布団の西川が発表しているデータなのですが、さすが寝具メーカー、こういった調査もやっているんですね。
日本と韓国は共に教育熱が高い国ですから成程とも思ったのですが、中国がこんなに寝ているのは意外でした。北欧のスウェーデン、デンマーク、アイルランドは白夜の国だから起きている時間が長くなるんでしょうか?
中国やアメリカは日本と比べて1時間半も多く寝ているのですが、どちらも広大な国土の多くが農村地帯で、農村部では都市部と比べて睡眠時間が長くなる傾向にあるそうです。各国の産業構造によって大きく左右されそうですね。
男女別の統計もあるのですが、各国男性の睡眠時間の方が短いのに対して、日本だけは女性の睡眠時間が短いです。男性の方が短ければ良いという訳ではないでしょうが、何だか日本での女性の生きにくさを象徴しているようではあります。
70歳になった今、昔のように眠れなくなったのは当然で、体がそこまでの睡眠を必要としていないというのが事実なのだから、8時間寝ないとという思い込みは捨てる。ただし規則的な生活を心がけて睡眠のリズムが乱れないようにすることが大事、というのが今の私の結論でしょうか。