我がマンションは入居戸数50軒程の小規模マンションで、入居時は子育てを始めたばかりの若い夫婦が平均的入居者でしたから、自然とママ友を中心としたコミュニティが出来上がり、子供たちはマンション内の色んな家庭で遊んだり、おやつを食べたり、時には夕食まで食べてきたりと、長屋的な雰囲気のあるアットホームなマンションでした。
マンションには管理組合というものがあり、恐らく多くのマンションがそうだと思うのですが、住民が輪番制で理事となります。我がマンションも任期2年の理事が10~20年間隔で回って来るはずなのですが、私は何のめぐり合わせか、入居初年度から2年間やって以降30年近く回って来ませんでした。別に回ってこないのを催促する筋合いのものではありませんから黙っていたのですが、昨年遂に順番となってしまいました。
初年度は輪番制もスタートしていませんでしたから、マンションの管理委託会社を通じて各戸に理事引き受けの打診がありました。その時「どうせ理事は輪番でやることになるんですから、マンションも新しい最初のうちに引き受けておいた方が良いですよ。」と購入時にお世話になったマンション販売会社の担当が話していたのを思い出して、引き受けることにしたのですが、上記の通り家族構成が似た家庭が多く、子供やママを通じてすぐに知り合いになって行きましたから、確かに難しいことは一切ありませんでした。
時は移り、入居後30年でまた理事になってみると、新築時の入居者の半数以上は転居して新しい住民に入れ替わっていました。売却して移った人、転居後も売却せず賃貸に回している人さまざまですが、空き家がないのは幸いで、たちまち管理費や修繕積立金の不足に悩むことはなさそうです。
最初に書いた通り、子育てを始めたばかりの若い夫婦が、いわゆる住宅の一次取得(最初の持ち家購入)対象とするマンションでしたから、特に高級という訳でもないごく普通のマンションなのですが、最寄り駅まで徒歩3分という足の便の良さが、空室を生まない原因なんだと思います。
任期2年の1年目は自動的に理事又は監事となり、2年目の人の中から理事長を選任するというのが我がマンションの慣習と聞いていたのですが、私の1年目最初の理事会の時、2年目の理事の中で誰も理事長を引き受けるという人がいませんでした。確かにそれぞれ止むを得ない事情を抱えておられましたので、では1年目の人の中でとなった時、お互い顔色を窺いながらの沈黙が続きました。そしてその雰囲気に耐え切れなくなった私が、それなら私がやりますよと口走ってしまい、結局2年とも理事長をやることに、、。
最初の理事の経験から、理事長と言っても大したことは無いだろうと高を括って引き受けたというのが本音でしたが、実際30年経ったマンションはかなり老朽化して、日々設備の問題が発生しますし、多くが入れ替わって生活パターンも様々となった住民間の苦情も管理人だけではなく理事長のところにも逐一報告が来ます。
思ったより大変じゃないかというのが実感で、特に昨年の住民総会は、私が考えていた「シャンシャン総会」とはならず、結構紛糾しました。まあマンションの住民総会なんて参加者は一握りに過ぎず、あとは委任状を集めていますから議案が否決されることは無いのですが、意見が出されているのに議事進行を強制することもできず、思わぬ長丁場の総会となって大変疲れました。
そして今年も8月の終わりに住民総会が開催されたのですが、今年はエレベーターの改修という大掛かりな工事についての議決が必要で、昨年にも増して紛糾が予想されましたから、今年は去年のように甘く考えず、事前に説明資料を配り、理事会報でも逐次進行を報告し、業者による事前説明会も実施し、とかなり入念に住民の総意を取り付けたおかげで、拍子抜けするほどあっさりと全ての議案が承認されました。
私はそこで晴れてお役御免となったのですが、大変だった半面、色々と考える機会ともなった2年間でした。老朽化したマンションが直面する設備の維持管理の問題、これは最終的には建て替えの賛否を問うということに行きつきますし、今現在は建前上禁止となっているペット飼育をどうすべきかということも現実問題としてあります。
分譲マンションとしての魅力を維持することが、売却を考えていない人にも重要であるということは、空家率が高くなれば設備の維持修繕もままならなくなって住環境が悪化する、という点からも明らかです。これまでは固定資産税が安くなるから安いままでも良いか、などと考えていたのですがそれは大きな間違いのようです。古くなっても人が買いたい・住みたいと思うようなマンションであり続けることが大事ですね。