名古屋での旧友との会食が終わり、車中泊旅の再開です。
自宅を出てから既に10日目ですが、車中泊は初日だけで後はすべて友人宅・ホテル泊でしたから。
ここからは、名古屋から千葉の自宅までの間を5日間程かけて旅する積りだったのですが、漠然と美濃、飛騨、木曽、信州という地名を想定していただけで、具体的には何も決めていませんでした。
そんな話を前夜の飲み会でしたところ、郡上八幡の食品サンプル館、中央アルプスの千畳敷カールは是非にと勧められました。郡上八幡と言えば郡上踊りや清流の街で有名ですが、食品サンプルが有名だという事は初めて知りました。
ということで飲み会の翌朝、団体客でごったがえす東横インのレストランでそそくさと朝食を済ませ、まずは郡上八幡へ向けて出発しました。
ホテル近くのガソリンスタンドで給油し、Googleナビに言われるまま走っていて、美濃市まで来たところで、「うだつの上がる町並み」という看板が目に入りました。「うだつ」とは隣家との境に設けられた防火壁で、江戸期の商家が財力を示すために装飾性を加えた建築物ですが、そこから「うだつが上がらない」は出世できないことの慣用句となりました。徳島県の脇町という所の「うだつ」は小さい頃から知っていましたが、美濃市も有名だったんですね。クルマからですので装飾性があって見ごたえのあるものは撮れませんでしたが、裕福な商家群だったことはわかります。

そこから30分程で郡上市の中心部、郡上八幡に到着しました。まずは街のシンボルである郡上八幡城に行って見ることにしたのですが、山城の城郭直下までの車道はとても狭い一方通行路で、甘く見ていたら何度かヘアピンカーブで切り返す羽目となりました。この城は再建されたものですが、日本最古の木造再建城なんだそうで、城山から見下ろす城下町や吉田川は絶景でした。





城山から下りて、友人お勧めの食品サンプル館に。古い街並みは狭い道路が入り組んでいて駐車に難儀しましたが、何とか「さんぷる工房 本館」というところの近くにハイエースを停めて入場してみると、食品サンプルと並んで昭和レトロの展示も充実していて、私はそちらにも興味津々でした。











街並み散策もしたいのは山々でしたが、この後飛騨古川から白川郷方面に行く積りでしたし洗濯物も溜まっていましたので、郡上八幡は吉田川の流れを眺めるだけで我慢することにしました。

郡上八幡から飛騨市へ向かうせせらぎ街道を走り始めてすぐのところにあったコインランドリーで洗濯を済ませ、改めてせせらぎ街道を北上し始めたのですが、この後トイレ休憩で立ち寄った「道の駅 明宝(磨墨の里)」で今後の行程を考えた結果、今回は飛騨方面はやめて木曽・信濃に絞ることにしました。
飛騨古川は、白壁土蔵の町並みや瀬戸川に泳ぐ錦鯉が有名で、映画『君の名は。』の舞台ともなりましたので一度行って見ようかと思ったのですが、飛騨高山や白川郷、更に富山県の五箇山などには何度か行っていますし、ここまで北上するとちょっと今後の行程がきつくなりそうだと考えたのです。
となれば翌日はまず馬籠宿となりますので、せせらぎ街道を引き返して郡上八幡に戻り、そこからこの日の停泊地に決めた「道の駅きりら坂下」を目指しました。そして道の駅が近くなってきたところで「付知峡(つけちきょう)倉屋温泉おんぽいの湯」という日帰り温泉を見つけましたので、ここで入浴していくことにしました。「おんぽい」とは、昔付知から付知川、木曽川を経由して下流の八百津まで材木を流していた頃の作業者のかけ声のことだそうです。
調べてみたところこの日帰り湯の名ともなっている付知峡は岐阜県の絶景スポットにも上げられる名所のようで、ちょっと寄っておけば良かったと後になって悔やみました。

道の駅きりら坂下の「きりら」はこの道の駅が木曽川右岸にあることから「きそ」、「リバー」、「ライトサイド」の頭文字を組み合わせたのだそうで、正直微妙なネーミングですが、絶えず聞こえていた木曽川の流れの音や、時々聞こえる中央本線の列車の音には旅情を誘われました。そして夜中に起き出して見上げた空には満天の星。