この日最初に訪れたのは馬籠宿です。馬籠宿は岐阜県中津川市にありますから表題の長野県というのは厳密には間違いなのですが、岐阜県が旧国名では美濃と飛騨、長野県が信濃であるのとは別に木曽という呼び方もあって、馬籠宿は木曽に含まれます。
美濃・信濃は明確な旧国名(令制国)ですが、木曽はそれとは違い信濃国に属する一地域名・地名であり、文化的・地理的なまとまりを示す呼称だったものが、江戸時代には「木曽十一宿」として中山道の宿場町群が形成されて、知名度も高くなりました。
岐阜県の馬籠宿は美濃、お隣の妻籠宿は長野県で信濃ですから、本来なら馬籠宿は木曽からも外れるはずが、上記の通り文化的・地理的まとまりとして木曽の一部、玄関口として扱われています。
車中泊旅となるととたんに早起きとなり、5時半には起き出して車中で簡単に朝ご飯を済ませたら出発です。道の駅と同じ中津川市内ですから6時過ぎにはもう駐車場に到着、ここは美濃から中山道を歩いて来た時の馬籠宿の登り口にある公営駐車場です。
以前の東北旅で訪れた大内宿と同じく、早朝は殆ど観光客もおらず有名どころを独り占めした気分になれるのが快感です。今では人里離れた自然の中では熊が怖いですが。







馬籠宿は結構な斜面にあって、下から上まで歩くだけでもかなり疲れましたが、帰り際に見かけた猫に癒されました。もっとも彼(彼女?)は少し迷惑そうで、そそくさと去って行きましたが、、、。
ここから次の妻籠宿までは旧中山道で9km程、徒歩なら2.5~3時間でハイキングコースとしても人気のようですが、馬籠宿内を上り下りしただけで息切れするようでは厳しいですね。それに昨今では妻籠宿周辺でもツキノワグマの出没が報告されているとの事で、早朝のこの時間帯に単独行は危険な気がします。
クルマですから十数分で妻籠宿に到着、ここにもまだ人影はなく、朝の掃除を始めた地元の皆さんにきさくに声をかけていただきました。馬籠宿、妻籠宿どちらも風情がありますが、私は鄙びた感じの妻籠宿の方が好みですかね。
私がのんびり散策して帰る頃に外国人観光客が団体で到着しました。欧米系の年配の方々で、ハイキングスタイルでしたから中山道を歩いているのかも知れません。







妻籠宿を出る時まだ8時でしたので、ここからまだまだこの日の観光は続き、次はここからクルマで1時間弱で行ける天竜峡、木曽エリアを出て信州と呼ばれる地域に入ります。
まずは国道256号線を南東に走り、三遠南信自動車道(国道474号)に入ってすぐの所にある天龍峡PAから歩いて天龍峡大橋に行きます。正式地名は「天竜峡」らしいですが、「龍」の字を使う施設も多いです。



その後天竜峡の中心部まで移動し、龍角峯という奇岩を見物し、つつじ橋という天竜川にかかる吊橋を渡ったりして景観を堪能しましたが、吊橋の手すりが低くて高い所が苦手な私には恐怖でした。
ここには2013年にソロツーリングで来たことがあり、その時は今も営業中の峡泉という旅館に泊まったのですが、当時は純和風の鄙びた宿だったものが、その後リニューアルされて高級ホテルに様変わりしていました。探してみるとその時泊まった部屋の写真が残っていました。





この時点でまだ10時半、ここからは2013年のツーリングルートをたどって下栗の里、しらびそ高原に向かいます。
下栗の里は南アルプスから伸びる尾根に拓かれた高原の里で、標高は800~1,100m、「日本のチロル」と表現される絶景地です。天竜峡からは1時間余りで行けるのですが、山あいの秘境だけあってそこまでの道は狭く険しいです。バイクの時は全く苦にならなかったのですが、ハイエース君の図体では取り回し、すれ違いも大変でした。
そこから、南アルプスエコーラインというロマンチックな名前の道を走ってしらびそ高原にたどり着きましたが、名前とは裏腹にたどり着いたというのがぴったり来るような狭く険しい道でした。ここは星空観賞で有名なところで、「天の川の聖地」とも呼ばれるそうです。







ここからは山を下りたところの、「道の駅遠山郷」で車中泊の予定でした。ところがあてにしていた併設の温泉が改装中で使えず、近隣の入浴施設もうまく見つけられませんでしたので、もうひとっ走りして「阿南温泉かじかの湯」で入浴し、宿泊は「道の駅信濃路下條」としました。下條村は俳優の峰竜太の出身地です。
無事入浴も済ませ、道の駅には5時頃到着したのですが、営業終了と共に続々とお客さんが帰って行き、この山あいの道の駅であまり寂しい車中泊は嫌だなと感じ始めました。ということで再度ハイエースを始動させ、更に30分程北上して「道の駅南信州とよおかマルシェ」に落ち着きました。ここは桜旅の途中でも使った事のある新しくてきれいな道の駅です。
この日は走行距離は200km余りでしたが山間部の曲がりくねった狭い道ばかり走りましたし、観光も盛り沢山でかなり歩きましたので、いささか疲れました。おかげで朝まで熟睡出来ましたが。