今年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」がついに最終回となりました。この作品は、江戸中期の出版人・蔦屋重三郎を主人公に据え、吉原というある意味アンタッチャブルな場所を舞台とした異色作で、合戦や武将ではなく、江戸のエンタメ文化を描いた点が大きな特徴でした。
主演は横浜流星で、小芝風花、綾瀬はるか、橋本愛、染谷将太、風間俊介、生田斗真、そして渡辺謙、石坂浩二、北大路欣也、高橋英樹らの大物も多く登場した、大河ドラマならではの豪華キャストでした。脚本は「大奥」などで知られる森下佳子で、江戸の出版統制や吉原の文化を背景に、浮世絵師・喜多川歌麿や葛飾北斎、東洲斎写楽らを世に送り出した蔦屋重三郎の波乱の生涯を描いていました。
横浜流星君はこの番組で初めて深く知ることなった役者ですが、とても好演だったと思います。大河ドラマの期間中に公開された映画「国宝」も大ヒットしており、公式には主演「吉沢亮」共演「横浜流星」となってはいるものの、実質的にはW主演と言われているようですから、今年は横浜流星君にとっては大当たりの年でした。
また少し横道に逸れた話ではありますが、吉沢亮君が泥酔して隣室に無断侵入した疑いで任意で事情聴取を受けたことを受け、アサヒビールが「適正飲酒を訴えている企業として容認できない」と判断して「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」の広告契約を解除し、新しいCMキャラクターとして横浜流星君が起用された、ということもありましたね。何だか「番宣か?」と思わせるような事件でした。
吉原の遊郭を舞台にした挑戦的な描写という点では、初回放映の病死した遊女の死体が広場に全裸のまま打ち捨てられている場面などで度肝を抜かれました。およそこれまでのNHKドラマでは考えられなかったような演出で、保守的な視聴者層からは散々に酷評されたようです。確かに家族揃って子供と一緒に見るような番組では無かったですが、そもそも脚本家自身、今のご時世に家族揃って大河ドラマを観る、などと言う場面は想定してもいなかったのではないでしょうか?
芸人・歌手などを数多く起用した多彩なキャスティングでも話題を呼んだようですが、くっきー!や鉄拳、ナダルら芸人が次々と登場したのには正直違和感ありありでした。特にくっきー!には北斎ファンの妻は不満大で、ベッキーの町娘にもかなり批判的でしたが、これら芸人・タレントの多用は江戸文化の多様性、庶民性を体現していたのかも知れません。
ただ田沼意次(渡辺謙)の重臣を演じた原田泰造は既に芸人枠を飛び越えており、中々の存在感でしっかり最終回まで登場し続けていました。
最終回では病に倒れながらも仲間と出版活動を続ける蔦重の姿が描かれており、夢の中で文化の未来を託すような幻想的な結末でした。批評家や一部の視聴者からは「合戦がなくても攻めた大河」とか「べらぼうに面白かった」という高評価も得られたようですが、平均視聴率はワースト1位の「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年)に続くワースト2位に甘んじたようです。従来の保守的視聴者層からは敬遠されたんでしょう。
我が家ではこれが第1回から最終48回まで皆勤した初めての大河ドラマなのですが、実は完遂はできなかったものの途中まででも観ていたのはワースト1位の「いだてん」とこれまでワースト4位だった「平清盛」なのです。
我が家の嗜好は世間様とは少し違っているようです。