永井紗耶子という女流作家の「木挽町のあだ討ち」という小説を読みました。購入したのではなく、「KindleUnlimited」というAmazonのサブスクです。
これは月額980円(税込)で読み放題の冊数が500万冊以上ありますので、今回のような初めて読む作家の作品や、雑誌などざっと読むだけで良いかというようなものに結構重宝して使っています。まあ話題作や人気作家の作品が登録されないのはどこのサブスクにも共通していますが。
永井紗耶子という作家の作品は今回初めてですが、歴史小説を中心に活躍していて、新聞記者としての経験から、史料の読み込みと取材による確かな構成力が特徴だと紹介されていました。女性の視点から江戸社会を描く作品も高く評価されているようです。
「木挽町のあだ討ち」は、江戸の芝居町・木挽町を舞台にした時代小説で、ある仇討ち事件をめぐる人々の思いを静かに描いた作品です。現在の中央区銀座4~7丁目あたりが、旧・木挽町に相当し、特に歌舞伎座、新橋演舞場のあるエリアが「木挽町」と呼ばれていました。
AIに書評を聞いて見ると、
「物語は、仇討ちそのものを大げさに描くのではなく、事件に関わったり、噂として耳にしたりする人々の視点を通して進んでいきます。そのため、読者は「事件の真相」よりも、当時の社会の空気や、人々が抱えていた価値観や迷いに自然と触れることになります。
登場人物は木挽町の芝居小屋に関わる人たちで、芝居小屋のにぎわい、町のざわめき、季節の移ろいなど、彼らを中心に江戸の風景が浮かんでくるような描写は流石に直木賞受賞作品だけのことはあります。」
もっと長々と述べてくれたのですが、要約するとこんな感じです。
成程その通り!と言いたいところなのですが、この作品についての私の感想は少し違います。「江戸の空気や、人々が抱えていた価値観や迷いと触れる」と言っても、登場する芸人、職人、町人、武家の次男坊、悪徳家老などはどれも典型的な「江戸もの」の型通りで、心理描写も既視感が強く深掘りが足りないと感じてしまいました。そういった類型的な描写が反復されますから、やや冗長で正直物語の中盤は退屈でした。
これが直木賞?というのが素直な感想でしたからAIに聞いて見たのですが、それが上記のような書評で、世間の評価はそうなんだなと自分の感性に少し自信を無くしてしまいました。
それでもめげずに、「なぜこれが直木賞?」という質問を自分の感想も合わせて再度AIに投げてみたところ、
「直木賞は、型を踏んだ上で破綻なく読ませる大衆小説としての完成度を重視するため、人物造形の革新性は必須ではありません。そのため、人物の薄さ(原文のままです。厚み・深みの方がピンときますが)を重視する読者には、これが直木賞?と感じやすいのだと思います。」
という答えが返って来て、一定数私のような感想を持つ読者もいることに安心しました。
普段あまり辛口の感想は書きませんし、勿論今回も出来が悪い作品だなどと上から目線で言っている訳では無く、語り口、風景や人物の描写などはとても自然で読みやすいですし、ミステリー仕立てのオチも良くできていると思います。そして何より秀逸だと思ったのは題名のひねりで、読後なるほどなあ〜となりました。
世間の評判を受けて早速映画化もされており、渡辺謙、北村一輝、滝藤賢一、柄本佑などの豪華キャストで2月26日封切りとなりました。
木挽町の芝居小屋が舞台ですから、大ヒット作となった「国宝」のような美しい映像が期待できるかも知れませんね。
