京都市が、利用されていない空き家や別荘などの有効活用を促すために、「空き家税」の導入を目指していたらしいのですが、今回総務大臣がそれに同意し、全国で初めて導入される見通しとなったというニュースを見ました。
京都市は、所有者に家屋の評価額の0.7%を課税するなどとしており、既に去年3月には必要な条例が成立しています。ただ地方自治体が独自に課税する法定外税には、総務大臣の同意が必要なのだそうで、今回ようやくその条件が整ったことになります。京都市以外では、熱海市が「別荘等所有税」を導入していますが、空き家を含めた税としては全国で初めてだということです。
また、相続する際に登記手続きを行わないことなどが原因で、所有者が分からないまま放置されている土地についても、不要な土地を手放して国の帰属とすることができる制度(相続土地国庫帰属制度)や、登記の義務化などを盛り込んだ改正民法(相続しても登記は義務ではなかったのだそうです。)などが成立し、今月から順次施行されるようです。
近所の住宅街を散歩していると、あちこちに放置状態の空き家が目立つ一方で、すぐ近くには新築の建売住宅がどんどん作られていて、すごく無駄と矛盾を感じますので、国や自治体がこう言った対策を考えるのは当然だと思います。3年前にも同様なことをブログに書いていました。
我が家の場合、岡山県に亡父が今の実家を建てたのは、私が20歳の頃でしたから、もう50年近く前、昭和40年代の終わりか50年代の初めのことですが、今無人となって放置されている空き家を見ると、どうもそれと同時期に建てられたと思しき物件が多いです。
私の実家では、父は既に亡くなりましたが、その後も母と妹は住んでいますので、もうしばらくは空き家となることはないですが、散歩途中で見る空き家に将来の実家の姿を見る思いがします。私の実家と同時期に同じような経緯で建てられて、子供さんが家を出たあとご夫婦が亡くなり、その後無人化したのかなあ、という想像ができる家も多いです。
この時この家を建てた人たちは、今の我が家を見てどう思うのでしょうか?当時は将来の資産としての不動産価値を期待し、それを子供に残してやりたいという思いだったでしょうから、逆にそれが子供たちの負担となるような現状は全く想像していなかったと思います。
空き家が発生する原因は、仕事などで実家から通えなくなるなど止むを得ない事情が多いでしょうが、減らない原因はやはり新築志向の高さでしょう。家を買うとなった時に、できるなら新築が良いと考えるのは、私もそうでしたから良く分かります。
しかし、国土交通省が賃貸に住む人に行った調査では、03年に69%だった新築志向は18年には44%に低下し、「中古可」「こだわらない」の合計が初めて「新築」を超えたのだそうです。「新築信仰」も徐々に変わりつつあるようですね。
ただ、今現在の中古住宅が購入希望者のニーズを満たす魅力的な物件かどうかはまた別の問題だと思います。今販売されている建売住宅を見ても、一生の買い物と言いながらもやはりどこか消費財的な匂いがしますし、売ることを前提にした再販価値の高い家であることが今後は必要になってくるのでしょう。子孫が住み続けるという事ではなく、他人ではあっても価値観・ライフスタイルが似通った人たちに引き継がれながら住み続けられる家ということになります。
以前私が民泊で利用した築90年超の農家は、どこを見てもまだまだしっかりしたもので、さすがと感じる純日本家屋でしたが、農業が定住を前提とした仕事であるからこそ、将来も子孫が住み続けられることを前提に、上等な木材を使い、高度な建築技術で建てられた住宅だと実感しました。
そんな農家でさえ無人となって民泊に使われていたのですから、特に過疎地域においては、一筋縄ではいかない難しい問題ではあります、、。