ここのところ散歩もサボり気味だったのですが、暖かくなってきたことと、何より新型コロナウイルスの拡散で人混みに行くのを避けるようになったので、徐々に復活してきました。
散歩していて気になっていたのが、近くの住宅街でも空き家が随分目につく事です。誰も手を入れていなくて放置状態のものも多く、その一方で、すぐそばでは新築の建売住宅が建設中。何かおかしいとはみんな思ってるでしょうし、大きな無駄と矛盾を感じます。
理由としては、まずは持ち家志向が強いことが考えられますね。
元々地方では賃貸借システムが成立し辛いこともあり持ち家が主流だったと思いますが、都会では借家住まいが普通で、そもそも誰もが持ち家に住むという考えはなかったんじゃないでしょうか?変わってきたのは、続々と地方から都会に出てきた人たちが持ち家文化を持ち込んだからかも知れません。
私自身も地方出身であり、当時社宅生活で不満はなかったもののどこかで持ち家文化を引きずっていたからこそ、結果マンションを購入することになったのだと思います。不動産神話も健在で、右肩上がりを信じていたことも大きかったでしょう。(私の場合はバブルがはじけた後に購入し、不幸なことにさらにドンと下がりましたが、購入時点ではまだ土地神話の再来を信じていました。)
ただこれは日本に限った話ではなさそうで、1946年のアメリカ映画「素晴らしき哉、人生!」(ウィル・スミスの『素晴らしきかな、人生』とは違います)でも、持ち家を持つことが庶民の夢のように描かれていましたから、これは古今東西変わらないのかも知れません。
また新築志向が強いことも、空き家の隣に新築が生まれる原因だと思います。私も新築で購入しておいて勝手なことを言いますが、クルマにしても家にしても、買った時点だけが新車新築で、乗り出した、入居した、その瞬間から中古なんですよね。最初新築の匂いというのは確かにありましたが、購入後20年経ってやった内装リフォームの直後でも新築の匂いはしました。
それに家業を代々継いでいく家でない限り、自分のライフスタイルと子供のライフスタイルは同じではないのが普通になってきていますから、自分の子供はこの家には住まない、住めないものだ、という前提で家を考えるとずいぶん変わって来ます。
今は子供に資産を残すつもりで買った家が、逆に子供の負担となっているというのが現実ですよね。
特に都会においては家業を代々継ぐという家は少ないでしょうし、地方においてもその比率はどんどん下がっていると思います。とすれば、借りるというのは一つの、というより最も効率的な方法ですし、買うにしても自分のライフスタイルに合わなくなってきたときは売ることを前提に考えれば、再販価値の高い家を建てるようになっていきます。再販価値が高いという事は、何世代にもわたって住み続けられる家という事が前提になりますが、それは子孫が住み続けるという事とは違い、他人ではあっても価値観、ライフスタイルが似通った色々な人たちによって住み続けられる、という意味になります。
日本の木造建築は、石造りにも劣らない耐久性があると思うのですが、それには寺社建築とまではいかないものの、やはり上等な素材と確かな技術での施工が必要で、相当高価な住宅という事になるでしょう。自分一代で払い切ることを前提とすると限界がありますね。
今の新築住宅を見ていると100年200年住み続ける、という発想はなく、一生の買い物と言いながらもやはり消費財的な匂いがします。3000万円の住宅を40年~50年で消費してしまうのではなく、1億円の住宅を100年200年使ったほうがより豊かな生活になりそうな気がします。
総務省の去年の統計では、850万戸、7軒に1軒が空き家になっているとのことですが、この中には下のグラフのように別荘などの二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅も含まれていて、ここで問題となるのはそこに含まれない、その他の住宅です。空き家全体のおよそ40%を占めていますから、これだけでも350万戸弱はあることになりますね。
一方で年間の新築着工数は90万戸を超えているのだそうですから、4年で現在の空き家総数を超えてしまいます。
アメリカ発のランドバンクに倣った空き家バンク等の取組みも始まっていますが、上で書いたような住宅の耐久性の問題と共に、相続税の問題とか市街化調整区域での厳しい売買制限とか課題も多いですね。
<追記>
今日散歩に行ってて、トイレットペーパー、ティッシュペーパーの品切れ現場見ました。SNSでのデマから起きた現象らしいですが、何だかねえ、、。