物心ついた頃から、家にはいつも猫がいました。
昔の田舎だったので、猫には愛玩動物という側面と、ネズミに対する番人という役割との二つがあり、どちらかというと役立つことを期待されていたように思います。今のように避妊処理もされていなかったですから、あまり数が増えると生まれた子猫たちが捨てられることもあり、それを見るのがとても辛かったのを覚えています。ですからその当時、雌猫より雄猫のほうが喜ばれてましたね。
今の社会なら糾弾されることなんでしょうが、当時それを可哀そうとは思っても、そこまでの罪悪感はなかったように思います。
ウチは農家ではなかったので、役立つ動物としてよりはペットとしての性格が強かったのか、捨ててくる、ということがなかったのは私にとっては幸いでした。
家庭の事情で祖母と二人暮らしだったのですが、祖母はそんなに猫が好きでなかった(嫌いというレベルではなかったですが・・)のに、何故いつも猫が居たのかは今となっては不思議です。
若くして亡くなった祖父は無類の猫好きで、仕事から帰るとすぐに猫を膝にのせており、猫より子供を抱けといつも怒ってたと祖母から聞きましたから、祖母が余り猫好きでなかったのは、その反動かも知れませんね。でも祖父の遺伝なのか、父もその兄弟姉妹も私のいとこたちも、そして私もみんな猫好きに育ちました。
高校を卒業して田舎を出るまで、一時最大3匹の猫(これは私が拾ってきた雄猫兄弟でした)がいて、上記の通り祖母は猫に対してクールでしたから、世話は私の役目でした。猫って薄情と言われますが、誰が世話しているのかはちゃんとわかっているようで、やはり私に一番懐いてくれたのは嬉しかったし、自分は猫に好かれる質なんだとも思ってました。
一人暮らしとなり、大学を卒業して就職した後は色々なところに転居もして、何より一人暮らしだったので猫を飼う機会もないままでしたが、結婚して今のところに落ち着き、ある人に紹介されて、また猫との生活が始まりました。
2000年の9月に家族となった「クー」♂です。お察しの通り、九月生まれなのでという安易なネーミングですが、お気に入りの名前でした。
その後も順調に育ち、ピーク時は7.5kgのデブ猫となりました。
この頃までは元気だったんですが、翌年急に元気がなくなり、2012年秋、12歳で亡くなりました。家猫としてはまだまだ生きてほしい年齢でしたし、とても悲しかったです。人間なら64歳、今の私とほぼ同じです。
子供たちがまだ小さい時に家族となり、彼らの成長にも常に寄り添ってくれた存在でした。二十数年振りに飼ったという事もあり、とても思い出に残る猫です。
そしてこの時わかったことは、私が猫に好かれる質だったわけではなく、やはり猫は誰が自分にとって一番重要な存在かをわかって接しているらしいということです。どう頑張っても家内には敵いませんでした。
現在はクーに2年遅れて、2002年の6月に家族となった「ロク」♀(ネーミングパターンはクーの時と同じ)が、17歳のお婆ちゃんとなりながらも元気に彼の後を継いでいます。彼女の話は、現在進行形ですのでまた次に。