シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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コロナ蔓延と「サピエンス全史」

 

今回の新型コロナウイルスの爆発的拡大で、数年前にお世話になっている企業経営者から薦められて読んだ、ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史」を思い出しました。その頃のベストセラーで、NHK等でも取り上げられましたから、読んだ方もいらっしゃると思います。

 

 

 

正直、仕事以外でこの手の固めの本を読むのは久しぶりで、読み始める前は義務感の方が強かったです。ところが書き出しの部分ですぐに引き込まれてしまい、上下巻でそれなりのボリュームですが一気に読んでしまいました。

 

その書き出しの部分を、ちょっと長いですが引用します。

 今からおよそ135億年前、いわゆる「ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した。私たちの宇宙の根本を成すこれらの要素の物語を「物理学」という。

 物質とエネルギーは、この世に現れてから30万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が結合して分子ができた。原子と分子とそれらの相互作用の物語を「化学」という。

 およそ38億年前、地球と呼ばれる惑星の上で特定の分子が結合し、格別大きく入り組んだ構造体、すなわち有機体(生物)を形作った。有機体の物語を「生物学」という。

 そしておよそ7万年前、ホモ・サピエンスという種に属する生き物が、なおさら精巧な構造体、すなわち文化を形成し始めた。そうした人間文化のその後の発展を「歴史」という。 

 

そんなことは当たり前だと思う方も多いのかも知れませんが、まず物理ありきで次に化学、そして生物学、歴史と続く、という簡潔明瞭な表現に私はとても魅力を感じ、同時に目から鱗が落ちる思いでした。

 

このサピエンス全史を今回の新型コロナウイルスの爆発的拡大で思い出したのは、この本に、250万年に及ぶ狩猟生活(ホモ・サピエンス以前の時代含め)を捨てて、約1万年前に農耕という定住生活に入った時、人類は飢饉と感染病との戦いに巻き込まれた、という部分があったからです。


農耕生活で豊かになった人類は爆発的に人口を増やし、定住したことと相まって人口密度は狩猟生活時代とは比べ物にならない程高まりました。更に作物の生育には湿潤な土地が適しているわけで、感染症拡大の条件は整っています。
また我々は長い狩猟生活の時代から雑食によって様々な栄養素を摂取する体の構造になっており、農耕で得られる単一の穀物からはバランスの良い栄養は摂れません。定住せず色々なところで色々な食べ物を摂っていた狩猟民族に比べて、抵抗力という面ではむしろ後退してしまった訳です。更に単一作物に頼る農耕は、気候変動や害虫等による壊滅的被害もあり、飢饉との戦いも起こってきます。

 

ここからは一部個人的意見も入ります。


農耕生活から都市生活に移っても状況は大きく変わってはいません。医学の進歩とともに疫病の発生リスクは抑え込まれましたが、やはり今回も大量発生しているのは日本も含め人口が密集している都市部です。出勤する先が農場から工場やオフィスに変わっただけで、人口密度は更に高まっているわけですから、新型コロナのように現時点で治療法がないとなると、爆発的感染に拡大してしまいます。

 

今更狩猟生活には戻れませんし、家を捨てて放浪生活というのも不可能ですが、都市機能分散化は今回の騒動で一つ可能性が見えてきましたね。テレワークの定着と宅配ビジネスの存在感です。全員が一斉に大規模オフィスに出勤して机を並べる必要はなく、対面でのやり取りが主体となる小売店もネットへの移行で数を減らす工夫はできそうです。

 

また、これまで掛け声ばかりに終わっていた首都機能の分散もこの機会にぜひ実行してもらいたいものです。

 

 

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