先日紹介した森沢明夫さん原作の小説と映画の第二弾です。
彼には、「夏美のホタル」ともう一つ房総半島を舞台とした小説があって、それがこの「虹の岬の喫茶店」です。「夏美のホタル」を読んだ時からこちらも読んでみようと思っていました。同様に映画化されていて、こちらは「ふしぎな岬の物語」というタイトルで、主演は吉永小百合さんです。
舞台となった喫茶店は内房の岬に実在していて、以前からバイク乗りにも有名な店でした。10年近く前に火事で焼失してしまったのですが、それをオーナーと常連客、地元の皆さんが力を合わせて再建したことも話題になりました。
基本的に天邪鬼ですから、あまり評判になったり、褒められたりしているものには距離を置くことが多いです。この喫茶店も、随分前から場所は知っていましたし、映画化されたことも勿論知っていたのですが、ちょっと引いて見ていました。
本についても同様で、芥川賞、直木賞を取った作品やベストセラーは、余程の事がなければすぐには読まないです。最近の芥川賞で、受賞作掲載の文藝春秋を買ってリアルで読んだのは、村田沙耶香さんの「コンビニ人間」くらいですね。又吉直樹さんの「火花」もブームが去った頃(?)、そっと買って読みました。
芥川賞がらみの新知識として、芥川賞は雑誌(同人雑誌含む)に掲載されている作品、直木賞は書籍として出版されている作品が対象なのだそうです。知りませんでした。ついでに言うなら、純文学、大衆文学という区分もよくわからないですが。
本作についてですが、小説の方は短編を連作でつなぐ形式で、バイクが登場する回もあります。
スズキのボルティー250とカワサキのZⅡで、ボルティーの方は赤タンクというのですが、ネットでも赤タンクの画像はほとんど見当たらず、確かにボルティーに赤というイメージは余りないですね。画像を見ると可愛いですし、作中でもそういう設定です。
一方では、思いきりいかつい、族仕様のZⅡ。アンコ抜きで集合管と言う設定になっていますからこんな感じですか?余計な話ですがこの中古車両、400万円オーバーです!
ですが映画版ではバイクのバの字も出て来ません。原作者は自身バイク乗りである(だった?)ようで、良い感じでバイクが出てくるのですが、映画では大事にされてないです、、。
小説や映画の内容に触れる表現や、良し悪しについての評価はなるべくしないようにしているのですが、「夏美のホタル」同様に今回も原作と映画とではシナリオに大きな相違があります。
今回の映画は大御所の吉永小百合さんですから、有村架純ちゃんの時にも増して、彼女を中心とした描き方に変更となっているのはやむを得ないところでしょう。そして流石に吉永小百合主演映画、出演者はとても豪華です。こんな人も?という俳優陣、ミュージシャン等続々登場して、それだけでも飽きません。
小説の方は「夏美のホタル」に似たテイストで、重い内容もあるのですが深く掘り下げていくという手法ではなく、読後感はさらっとしています。ちょっとだけ批評的なことを言えば、少しありふれた表現だなと思うところもありました。映画の方は盛り上げ型の演出ですかね?森沢明夫さんの小説は他にも1~2作読みたいなと思うものがあるので、近日中にチャレンジして見ようと思います。
あわせて実在店舗の方にも一度は訪問してみたいのですが、上記のように混んでいる店は嫌なので、平日の朝あたりで狙ってみます。とはいえ近くにある黄金アジの有名店「さすけ食堂」や「はまべ」は平日でも激込みですし、この店に興味を持つのは私くらいの時間を持て余している層が多そうなので、ちょっと腰が引けてます。