シニアライダーの日常・R1200Rと共に

シニアライダーの日常と記憶、愛車R1200Rと行くツーリングの記録と四方山話。

職人の世界

 

最近日本礼賛型のテレビ番組が多く、私もやはり日本人ですから、嫌ということはないのですが、少々鼻についてきたのも確かです。そんな中で、NHKの「COOL JAPAN」はブームの先駆けで既に16年目を迎えています。名前からして日本礼賛番組ではありますが、一方的な「日本って凄いでしょ?」的な構成だけではなく、NOT COOLも織り交ぜてくるのが中々良いバランスで、良く見ています。司会の鴻上尚史さんやアシスタントのリサ・ステッグマイヤーさんがお気に入りということもありますが、、。

 

こういった番組で多く取り上げられるのが、職人さんの世界です。「多くの収入は得られず、世間から賞賛もされないけれど、劣悪な環境下で黙々と自分の作品・仕事に誇りを持って取り組んでいる名人肌の人達」というのがお決まりのパターンでしょうか?
確かにそういった人達や町工場・工房の技術が日本の技術力を底上げしているのは確かだと思います。

 

ただこういった世界の多くは、若者に見向きされないいわゆる3K職種であり、後継者に悩んでいることも共通しています。上記のTV番組が取り上げるのはその中でも人間国宝的な名人が多く、そのあたり、ごく一握りの成功者しか日の目を見ない芸能界やプロスポーツの世界と似ているかも知れません。
ただ芸能界やプロスポーツの世界は常にそこを目指す無数のチャレンジャーがいるのに対して、職人の世界はチャレンジャーのいない先細りの世界です。


その原因は上記の通り3K職種だからです。その世界の第一人者ですら自分の子供がこの世界に入ることを望まず、大学を出て安定した大企業へ勤めることを期待したりします。誰も子供に継がせたくないのは自分の職場がキツイから、ですよね?職人である親は、自分の仕事にプライドを持っている一方で、我が子に暑いし寒いし危険もある自分の職場ではなく、空調のきいた快適な職場で週休2日の仕事について欲しいと思う訳です。親が自分の職業に誇りをもって子供に伝える、、言うは易しでなかなか難しい事です。

 

ただ「サラリーマンは気楽な稼業」と歌われた世界ははるか昔のことで、現実にはそんなユートピアでないことは当然です。
ホワイトカラーには、コミュニケーション能力が必須で、経験を積むに従ってリーダーシップも当然のように求められますが、これは万人に備わっているものではありません。試験用の学力はある程度訓練と努力で身につけられても、こういった能力はそうはいきません。そして比較的そういうスキルを求められない専門職は、現代の職人と言えるのかも知れませんが、日本の大企業では専門職制度が確立していないケースが多く、他の大勢と横一線で総合職、管理職として登っていく過程で振り落とされた人のポスト、みたいにみられていることも多いです。福利厚生は自営等に比べると断然充実しているでしょうが、自己満足度、やりがい、という面では果たしてどうなんでしょうか?

 

 農業の世界では、農業法人による大規模農業とか、新しい試みが生まれ始めていますが、職人の世界も、生産現場である各界の職人を、一つの法人が束ねて、一元化された管理部門、営業・販売部門を持つ、みたいな発想ができれば、自分の子供のみならず、新しい人材も採りやすくなると思うのです。
その方向で色々な取り組みも始まっているようで、東京のいわゆる下町、町工場の密集地帯では、下記のようなプロジェクトもあります。

 

tokyo-fabhub.com

www.machikoba.tokyo

 

 そういえば私がまだ若い頃、株式会社総務部というそのものズバリの名前の会社が話題になったことがあり、この会社のコンセプトは正に後方部門に人的資源を割けない零細企業のサポートを請け負う、というものでした。最近あまり社名を聞きませんが、北陸の税理士事務所が作った会社で、HPも存在していましたので頑張っているようです。

 

ちょっと中途半端で掘り下げもできていませんが、要は、性に合わない会社組織で肩身の狭い思いをするくらいなら、家業を継ぎ、販売も管理も専業に委託して、自分は代々続いた専門技術の継承・発展に注力する、というやり方で、会社員にひけを取らないような労働環境を確保することも可能になるんじゃないか?と考えた次第です。 

 

 

 

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