2019年に新車バイクを購入した人の平均年齢が54.7歳だった、という記事を読みました。想像以上に高齢化が進んでいますね。
ネット上では、波平さんと同い年だ!と盛り上がっていたようですが、これを「新しく」バイクを購入した人と読み違えている人も多く、正しくは「新車」でバイクを購入した人ですから、若い人には中古車を買っている人が多いので、新車購入者の平均年齢が上がっている、ということも考えられそうです。
振り返ってみると、私も2009年にカワサキのW650で本格的にリターンを果たしたのがやはり55歳の時でした。
2001年にも一度ヤマハのSRX600というバイクでリターンしたのですが、(2年余りで挫折)この時は9年落ちの中古車でした。結婚が遅かったので40代半ばでもまだ子育て真っ最中で、金銭的にも余裕はありませんでしたから。
また数十年ぶりのリターンなので軽いバイクが良いなと思って、シングルかツインの細身のバイク、という条件で探したのですが、経済的な問題を抜きにしても、当時中排気量の新車にはあまり魅力的なのがありませんでした。本当は同じヤマハのSR500の方が好きだったのですが、キックスタート式というのがネックとなり断念しました。昔々高校生の頃、友人のヤマハRT360という2ストシングルのケッチンに死ぬ思いをしたトラウマがありますので、、。
今の55歳が高校生だった1980年代には、バイクブームによる事故の増加や暴走族への批判から、「三ない運動」というものが全国の高校に広がっていました。幸い私が卒業した後の話なのですが、高校生によるオートバイ・自動車の運転免許取得や車両購入、運転を禁止するための、「免許を取らせない」「買わせない」「運転させない」という運動で、実質的にはオートバイの運転を禁止するのが主目的でした。本田技研工業の創業者である本田宗一郎さんは、著書「私の手が語る」で「教育の名の下に高校生からバイクを取り上げるのではなく、バイクに乗る際のルールや危険性を十分に教えるのが、学校教育ではないのか」として、三ない運動を痛烈に批判していたそうですが、バイクメーカーの社長の発言であることを割り引いても、誠に正論だと思います。今も学校はスマホ規制なんかで同じことをやってますけどね。
ですから今の55歳新車購入者の方の多くは、その頃に上記の理由でバイクに乗れなかった人ではないかと想像します。好きな人はそれでも隠れて乗っていたんでしょうが、どちらの場合でも、お金にも自分時間にもある程度余裕ができた今は、当時買えなかった、憧れたバイクということで、より大きい、より高級な(人気の旧車もこれに含まれますね)車両に目が行きがちになると思います。
私の場合もそうで、最初のリターンの時のSRXには600と400の車種があり、400の方がタマ数も多く、程度の良い車両が選べたのですが、やはり中型免許では乗れないバイクに乗りたいという気持ちが強く、400は選択肢になかったです。SRも500というのはレアで、400が圧倒的に数も多く、400なら当時も新車販売されていたんですが、、。
そして600、650という中排気量でスタートした後は、850、900、1200と結果的に排気量は倍増していて、車両価格もそれにつれて高くなっています。
加齢による運動神経、動体視力、体力の低下と反比例して、高性能車両に乗り換えている訳ですから、そのリスクの自覚と、大人の自制心は持ち続けないといけないですね。