千葉県南房総市千倉町にある高家神社(たかべじんじゃ)は、日本唯一の料理の神様である磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)、尊称・高倍神(たかべのかみ)を祀る神社だそうです。高家と書いてなぜ「たかべ」と読むんだろうと思ったのですが、そういう理由だったんでしょうね。
日本各地の神社に「包丁式」という神事があって、烏帽子(えぼし)や直垂(ひたたれ)姿で、日本刀のような庖丁と長いまな箸を使って、手を触れることなく、鯉、真鯛、真魚鰹(まながつお)などを調理する姿がニュースなどで報道されることがありますが、ここ高家神社の包丁式も有名なんだそうです。
またこの神社の縁起を読んでいると、景行天皇の侍臣だった磐鹿六雁命の子孫は代々「膳(かしわで)」という職を継ぎ、もし世継ぎのないときは、天皇の皇子を継がせ、他の氏を交えず、皇室の食事を司るよう賜った、とありました。
昔、職場の友人に「膳(かしわで)」という男がいて、年恰好も近かったので当時気安い付き合いをしていたのですが、そんな由緒正しい家柄とは知らず、これを読んで驚きました。名家の雰囲気がある苗字だなとは思っていたのですが、ここで当時の失礼の数々を詫びたいと思います。本人の目には留まらないと思いますが、、。
そして下の記事で、この高家神社では今竹灯籠(たけあかり)によるライトアップが行われていることを知って、日曜の午後から出かけてみることにしたのです。
日曜日の夜遅くなると月曜の仕事にも支障が出ますのでいつもは控えているのですが、次の月曜日は妻と私は休みですし、娘は在宅勤務ですので多少帰宅が遅くなってもいいかということで、船橋で外出中だった娘と落ち合い、午後から出発しました。
POLOは船橋駅地下の駐車場に入れ、昼食を船橋東武のレストラン街にある「青葉」という牛タンの店で食べました。このレストラン街では、この「青葉」と天ぷらの「ハゲ天」、蕎麦の「永坂更科」が御贔屓で、ちょっと贅沢気分でご飯を食べたいときに寄ります。
例によって往路は妻の運転ですが、この日は船橋駅地下から出発すればすぐ京葉道の船橋ICですから、高速が苦手な妻はすでに緊張していました。しかし日曜日午後1時過ぎの京葉道下り線は交通量も少なく、この先館山道の鋸南富山ICまでスイスイでした。目的地は千倉ですから本当は終点の冨浦ICまで行く方が早いのですが、この時はまだ15時にもなっておらず、ライトアップ開始の16時半まではまだまだ時間がありますし、16時半でもまだ明るくて雰囲気は出ないでしょう。そこでまずは鋸南町から県道89号線で鴨川に向かい、周辺の見物もしつつ、「カネシチ水産」で早めの夕食をとってから行こうというつもりだったのです。
しかし鴨川にはもう15時半には着いてしまい、さすがに夕食には早すぎますから、まずは鴨川郊外の魚見塚展望台に行ってみることにしました。
ここは鴨川市南方の小高い岬の上にある展望台で、大きな女神像が立っています。恋人の聖地(という設定)であり、多くの鍵がぶら下げられていますが、そのうち半分は別れたろうねという娘の冷静な言葉が、、。
この日は天気も良かったですから眼下に望む鴨川の市街地と太平洋がとてもきれいでした。またこの展望台までは何度か来ていたのですがこの先にある浅間神社には行ったことがなかったので行ってみました。やはり殆どの人は展望台までで引き返すようで、訪れる人も少なかったですが、こじんまりした趣のある神社でした。
そこからカネシチ水産に向かったのですが、何とコロナ対応で営業は昼だけ、15時半で終了していました。まあこの時でもまだ17時前でありお腹も空いていませんでしたので、このまま南下して野島崎灯台まで行って夕陽を見ようということにしました。
野島崎に到着したのはまさに日が沈もうとしている時で、本当にきれいな日没に巡り合えました。バイクでは何度も来ていますが、できるだけバイクでの夜間走行はしないようにしていますので、この時刻まで野島崎でいることはなく、ここで日没を見るのも初めてです。
野島崎で予想以上の絶景に巡り合えたことで気を良くして、この日の本命の高家神社に向かいましたが、この時点では魚見塚展望台からの眺めと野島崎での夕陽に満足してしまい、多少期待外れでもいいかという気にもなっていました。
ところが高家神社もまた期待以上の美しさで、この日は昼からの半日行事だったにもかかわらず、大満足のドライブとなりました。
竹あかりと名付けられた竹灯籠に灯がともり幻想的な光景が広がっています。思った以上のスケールで、これが土曜日ならもっと人出も多かったのでしょうが、日曜日の夜ということで訪れる人も殆どおらず、ゆっくり見物できました。
帰りの高速も、すでに行楽帰りの混雑は解消しており至極快適に自宅まで帰り着きました。ただ思わぬ絶景に巡り合ったために夕食が後回しになってしまい、途中の市原SAで食べたのですが、久しぶりに食べようと思っていた、カネシチ水産の金目の煮つけだけが心残りです。