これは年末に自宅で観た映画の内の一本ですが、前回紹介したエノーラ・ホームズの事件簿2で、エノーラの兄シャーロック・ホームズを演じていた、ヘンリー・カヴィルの主演作品という事で観る気になったものです。彼はスーパーマン俳優としても有名ですね。
この映画は、2015年に、1960年代アメリカで人気を博したイギリスのスパイを主人公としたTVシリーズ「The Man from U.N.C.L.E.」を、新たに映画化したスパイアクション物です。
オリジナル版は日本でも1965年から「0011ナポレオン・ソロ」という邦題でTV放映されて大ヒットし、私も毎週欠かさず観ていました。
ナポレオン・ソロ役がロバート・ヴォーン、イリヤ・クリヤキン役がデヴィッド・マッカラムという俳優でしたが、当時イリヤがKGB出身という設定だとは全く知らずに見ていて、今回それを初めて知りました。オリジナル作品のイリヤは、今回のようなマッチョな設定ではなく、飄々とした知性派という感じで、人気度はむしろ主人公を上回る程となり、主人公のロバート・ヴォーンが嫉妬してデヴィッド・マッカラムと不仲になったという話もあるのだそうです。私もイリヤの方が好きでしたね。
「0011ナポレオン・ソロ」という名前や、イギリス諜報部のスパイという設定から、どうしても「007ジェームズ・ボンド」の二番煎じという印象を持ってしまいますし、連続TV映画ですから毎回1時間でお手軽に事件が解決し、軽い印象なのは否めません。その点は水戸黄門や暴れん坊将軍などの時代劇とも似ていますが、逆にこの予定調和が癖になるといえばそのとおりです。
そして今回主演のヘンリー・カヴィルは、ダニエル・クレイグらと共にその007シリーズ、ジェームズ・ボンド役のオーディション最終テストにも残っていたのですが、若すぎることがネックとなって、ボンド役はダニエル・クレイグに決定したのだそうです。確かにヘンリー・カヴィルのジェームス・ボンドも似合いそうです。
本作のガイ・リッチー監督は「シャーロック・ホームズ」シリーズの監督だったそうで、ヘンリー・カヴィルがシャーロック・ホームズシリーズの主演だったら、あんな風なホームズになったんだなと思うと興味深いですね。
本家ロバート・ヴォーンのナポレオン・ソロは、ショーン・コネリー等が演じたジェームス・ボンドよりも少しコミカルさを押し出した設定で、今回ヘンリー・カヴィルもその設定を踏襲しているのですが、彼にはスーパーマンのような生真面目な主人公役がピッタリで、正直この役柄にはちょっと違和感がありました。ただ、前回観た「エノーラ・ホームズの事件簿2」でもそんな役柄に挑戦しており、変身しようとしているのかも知れません。