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映画「フルメタル・ジャケット」を観ました。

 

私が若い頃ヒットした、ベトナム戦争を描いた映画「フルメタル・ジャケット」を、Amazonプライムで鑑賞しました。封切りは1987年ですから、36年振りにやっと観たことになります。

 

ベトナム戦争を題材とした映画は数多くありますが、その中でも「地獄の黙示録」「プラトーン」とこの「フルメタル・ジャケット」の3作が私としての「重い映画」(=観るのに勇気と気合が必要な映画)ベスト(ワースト?)3となっていて、なかなか視聴に踏み切れなかったのです。過去TVの映画劇場等でも何回か放映されたと思うのですが、観ることなく今に至っていました。

 

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原作である小説は「短期応召兵(ザ・ショート・タイマーズ)」というタイトルで、これなら映画のスタートからすぐ納得できるのですが、映画ではこれが「フルメタル・ジャケット」に変わっています。

 

フルメタル・ジャケットとは、和訳すれば「完全被甲弾」であり、金属で覆われた弾丸の総称=メタル・ジャケットには、このフルメタル・ジャケット(弾頭を完全に真鍮で覆った弾)とパーシャル・ジャケット(弾頭の先端部分以外を真鍮で覆った弾)があり、パーシャル・ジャケットは目標に衝突した際に、メタルに被われていない弾頭先端が変形し破壊力を増す構造なので、主に大型動物のハンティングに用いられます。

 

ハーグ陸戦条約というものがあって、その第23条では、「不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること」を禁じているのだそうです。そしてこの定めへの抵触を避けるなどの人道上(!)の理由から、軍用弾にはフルメタル・ジャケットが用いられていて、あえて不必要な苦痛を与えない為に破壊力を抑える目的で使われている弾丸が、フルメタル・ジャケットということになります。

 

このタイトルについては色々な考察がありましたが、キューブリック監督は、人殺しはするが人道的だというこの弾丸を、平和の為に戦争(人殺し)をする軍隊という矛盾した存在の象徴としたのではないか、というものが私には一番しっくりきました。

 

前半部分は、原作小説のタイトル通り、短期応招兵たちが過酷な訓練の場で人間性をはぎ取られるまで徹底的にしごかれる場面で、後半は、ベトナムの戦地に送られた彼らを描く場面となります。前半・後半共に衝撃の展開があり、2時間という長い映画でしたが一気に観終えました。

 

エンディングでローリング・ストーンズの「Paint It Black(黒く塗れ!)」が流れてきたのには驚きましたが、映画の余韻の中でとても心に沁みました。
期待通りとてもいい映画でしたが、気持ちが消耗するのも確かです。私の考えるベトナム映画3大作品の残り2つ、「地獄の黙示録」と「プラトーン」も今の心境の内に一気に観てしまいたいのですが、果たしてどうなるでしょうか。

 

愛猫ロクの老年期には、彼女の介護のために誰かが家で居ることになり、自然と映画や小説に触れる機会も多かったのですが、彼女が居なくなった今、これまでの反動のように家族で出かけることが増えています。

 

何だかロクが居なくなるのを待って急に羽を伸ばしているようで、ちょっと気が引けるのですが、彼女も「これからはせいぜい皆で楽しんで!」と言ってくれている、と思うようにしています。

 

その結果、映画を観るのも久しぶり、読みたい本も積読状態(実態はKindle内ですが)となっていますので、また少しずつ時間を作って映画・読書にも戻っていきたいです。

 

2023/6/18追記

この映画の余韻がまだ残っている中、陸上自衛隊の射撃場で衝撃的な事件が起こってしまいました。ここに至った経緯はまだ判明していないと思いますので軽々しく言及はできませんが、まさにこの映画を彷彿とさせるような事件でした。
犠牲となった方のご冥福をお祈りします。

 

 

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