昨年の今日も東日本大震災の事を記事にしましたが、10年経ったからという事ではなく、毎年阪神淡路大震災の1月17日とこの日位はその時の事を思い出して、記憶にとどめておきたいと思います。私は幸い被災者とはなりませんでしたが、この二つは自分への関り、影響が大きい災害でした。
昨年の記事では、震災当日会社での状況を中心に書きましたが、今回は翌日以降の暮らしについて思い出してみます。
昨年の記事で書いた通り、当初は落ち着いているかに見えた都内の状況も、徐々に被害の大きさが判明してきて、結局その日はオフィスで仮眠することになりました。徒歩で安全に帰宅できる社員は帰しましたが、それでも半数程度は残っていたと思います。自分のデスクで突っ伏して寝たり、会議室で椅子を並べて寝たり、思い思いに寝ましたが、正直眠れたもんじゃなかったです。
昼間からの報道で、被災地の津波被害の大きさは想像を絶するものだとわかってきていましたし、津波は千葉にまで及んでいました。千葉では東京湾内側の市原市でもコスモ石油のLPGタンクが炎上し、炎と黒煙が上がっているのがTV画面だけではなく肉眼でも確認できて、何だか底知れない不安を感じる夜でした。
翌日の土曜日、5時間以上かけて何とか帰宅し、地震発生時の我が家の様子を家内に聞くと、まずそれまで殆ど聞いたことがなかった地震速報がスマホからけたたましい音で鳴り出し、それで恐怖心が一気に増幅されたとのことです。特に驚いたのが猫たちで、まず警報に怯え、続いてきた大きな揺れと音で完全にパニック状態に陥っていたそうです。猫たちはその後の余震でも警報が鳴るたびに尻尾を巻いて物陰に隠れていました。
翌日から、まずはガソリン不足が発生し、近隣のガソリンスタンドはどこも長蛇の列ができました。物流の途絶による実際の不足もあったでしょうが、福島の原発の推移如何ではクルマでの避難も必要になるかも、ということで今のうちに満タンにしておこうと考えた人が多かったと思います。
関東圏への放射性物質の飛来も報道され、私の会社でも最悪本社移転まで検討しましたが、我が家でも家内の両親含め6人プラス猫2匹が私の実家か関西の親戚を頼るとなるとやはりクルマという事になります。今考えると大げさなようですが、実際に関西に引っ越した家も何軒もありました。
そんな中我が家では、震災当日娘と猫を連れて近所の病院の駐車場にクルマで一時避難していた家内が、絶対ガソリンは必要になると思ったとの事で、その日のうちに満タンにしておいてくれました。まだ震災当日は行列もできていなかったそうで、これは家内のファインプレーでした。
そして水不足。関東圏でも水道水への放射性物質の混入が危惧され、買い占めで一気に水は売り場から姿を消しました。どの店も入荷即売り切れで棚は空っぽですので、毎日スーパー、コンビニで500㎖の水を一本ずつ買いまわった日もありました。1ℓ、2ℓの水は殆ど見当たりませんが、500㎖なら数本棚に残っている場合もありました。
この買い占め行動は今回のコロナ禍でも繰り返され、いくら啓蒙活動してもキリがなく、情けない話です。
そしてその後、当初はネットでも総売り切れだった10ℓ、20ℓの水が買えるようになり、やはり健康への影響は心配でしたので、その後半年以上は飲料水にはこれを使いました。
電力の不足も深刻で、計画停電も実施されました。隣町までは実施されましたが、結局ウチには一度もありませんでした。それに備えて、キャンプ用のランタンやストーブもバイクのガレージにしているトランクルームから持ち帰っていたのですが、出番はありませんでした。
この時は我が家の節電意識も高まり、エアコンやオイルヒーターは一切使わず、家族全員リビングのホットカーペットに集まって布団を膝にかけ、コタツ状態にしてしのぎました。3月とはいえ肌寒い日が多かったように記憶しています。
それが今ではすっかり元通りで、他人様の事をとやかく言えません。
千葉でも、野田市や柏市では放射線量が多いホットスポットがみつかって、学校では屋外での活動に制限がかかり、遠足や林間学校が中止になるなど、特に中学生の娘には影響が大きかったですね。今でも時々愚痴っています。
ガソリン、水以外でも首都圏では小売りチェーンの物流拠点が被災し、相当期間物資が不足する事態となりました。完全に回復するには数か月要しましたね。
その後、震災への備えとして本社やデータセンターのバックアップ機能を用意することとか、社員の安全確保のために帰宅時のルートマップを作るとか企業では色々対策が進んだと思いますが、家庭ではどうなんでしょう?我が家では、非常用バッグや、水、非常食の用意等一通りはしましたが、水や食料は入れ替えタイミングで切れてしまったりして、ちゃんと更新できてはいません。節電に関しても上記のとおりですっかりのど元過ぎれば状態となっています。記憶を新たにするだけではなく、この機会にもう一度家族の意識含め点検しなくてはいけないですね。