シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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周防柳(すおうやなぎ)著「高天原-厩戸皇子の神話(たかまのはら-うまやどのみこのかみばなし)」

 

周防柳という作家の「高天原-厩戸皇子の神話」という小説を読みました。彼女の作品は「蘇我の娘の古事記(ふることぶみ)」に続いて2作目で、漢字の読ませ方が独特ですが、飛鳥時代の話ですから訓読みが基本なんでしょうね。

 

 

厩戸皇子すなわち聖徳太子が古事記や日本書紀よりも前に編纂させたといわれる「国史(くにつふみ)・天皇記(すめらみことのふみ)」を題材としたもので、前作の古事記より更に古い話です。
歴代天皇の名前をはじめとして耳慣れない単語が連続しますし、日本の古代史が頭に入っていないので中々理解が進まないところもありましたが、単なる読み物としてもとても面白かったです。何より文体が私の好みで、今後彼女の愛読者になってしまいそうな予感があります。
次は「逢坂の六人」という紀貫之が主人公の作品を読む積りなのですが、周防柳の作品は殆どKindle化されておらず、「逢坂の六人」に至っては文庫の新刊すら在庫切れでしたので、Amazonで中古本を注文しました。絶版ということでもないのでしょうが、どういう事情なんですかね?

 

私は新しい物好きの割には読書については保守的であり、気に入った作家の作品を追い続けることが多いですから、今回新規に彼女の愛読者になるならかなり久しぶりのことになります。
私が愛読者となった最初の作家は太宰治で、若い頃にかかるはしかのようなものだと揶揄する人もいましたが、多くの若者が太宰作品の虜になったのは確かです。大半の人にとって、教科書に載っていた「走れメロス」が太宰作品の初体験となるのでしょうし私もそうでしたが、嵌りこんだきっかけは「人間失格」や「斜陽」で、そのギャップに驚いたものです。

 

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女流作家(最近ではこの言葉自体問題ありそうですが)といえば、「たけくらべ」の樋口一葉が真っ先に頭に浮かびますし、全集を持ってもいる(kindleを使い始めた頃に無料版をダウンロードしています。)のですがまだ少しも読んでおらず、若い頃読んだはずのたけくらべさえ内容は全く記憶にありません。文語体でとっつきにくいですから現代語訳で読んだような気がします。

 

過去私が複数の作品を続けて読んだ、愛読者といえる女性作家を並べてみると、住井すゑ、塩野七生、平沼弓枝、あさのあつこ、有川浩などがあげられます。数は少ないうえに全く脈絡がないですね。

 

まず住井すゑですが、読んだのは「橋のない川」全7巻のみですから、複数作品を読んだと言って良いかは微妙なところです。ですが若くて多感な頃に読んだこの作品にはとても大きな衝撃を受けました。
私が生まれ育った四国でも同和問題は当然認知されていましたが、彼女の出身地奈良県は更に同和問題が深刻な土地柄で、全国水平社という組織のことや水平社運動というのもこれをきっかけに知ることになりました。そして彼女が結婚後牛久に住んでいたのを今回初めて知り、更に親近感が増したところです。

 

平沼弓枝は時代物を中心に多く読んでいますが、やはり代表作の「御宿かわせみ」が一番印象的です。34巻という長編は終了しましたが、「新・御宿かわせみ」として次世代が主人公となった続編がスタートし、今も楽しみにしているのですが、作者がご高齢でもあり5年程新作が出ていないのは気がかりです。

 

塩野七生は「ロードス島攻防記」という聖ヨハネ騎士団を取り上げた小説で知り、その後「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」「海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年」などを読んだのですが、彼女のライフワークともいえる「ローマ人の物語」は文庫版で40冊以上にもなる超長編ですので、恐れをなして手をつけられないままです。

 

そして、あさのあつこは「バッテリー」が入り口で、時代物である「弥勒シリーズ」まで色々なジャンルの作品を、有川浩は「図書館戦争」から始まって、こちらも「自衛隊三部作」と呼ばれる「塩の街」「空の中」「海の底」から「阪急電車」に至る色々なものを読んでいます。

 

作家の性別に関係なく、自分の感性に合う作品は当然あるのですが、私程度の読書量では、その殆どにまだ巡り合っていないのが現実でしょう。そんな中で「これは!」という作品・作家に出会えた時、それが若い作家さんであればこの先また楽しみが出来たと嬉しくなり、今回もそんな気持ちです。

 

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