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冲方丁著「麒麟児」を読みました。

 

冲方丁の「麒麟児」を読みました。最近読書量が極端に減っていて、積読状態のものが20冊近くになっているのですが、物理的な積読ではなくKindleでの保存ですから日頃目に留まることも無く、積読している意識が無いのが災いしていますね。

 

冲方丁(うぶかたとう)の著作はほぼ1年前、新型コロナ感染から復活して最初に読んだ、「戦の国」以来でした。その時の下のブログを読み返してみると、この時すでにこの「麒麟児」は積読状態となっていたようで、活字離れも甚だしいですね。

 

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その時にも書いたとおり、冲方丁はSF・ファンタジー作家として世に出たのですが、かなり若向きという印象で、ちょっと手にする気にはなれないでいました。私が彼の読者となったのは最初の時代小説「天地明察」からで、この作品は元V6の岡田准一主演で映画化されましたからご存じの方も多いと思います。幕府の命により、天体の運行を観察して日本独自の正しい暦を作り出そうと奮闘した元棋士の話です。

 

今回の「麒麟児」も時代小説ですが、舞台はぐっと近代に近付いた幕末から明治維新で、勝海舟と西郷隆盛が2人の英傑(=麒麟児)として描かれています。維新の英傑・英雄と言えば、やはり討幕側の西郷隆盛や坂本龍馬が思い浮かびますし、幕府側でそれに対峙した勝海舟の事を維新の英雄として意識したことはなく、咸臨丸で遣米使節団として太平洋を渡った幕臣、程度の認識でした。

 

この小説は、幕府軍が鳥羽伏見の戦いで朝敵となり、官軍が江戸まで迫ってきた1868年3月13日、14日に、幕府の陸軍総裁・勝海舟が直接官軍参謀の西郷隆盛を訪ね、江戸開城に向けての最終交渉を行った結果、すでに江戸城総攻撃に向けた包囲網がほぼ完成していたにも関わらず直前で戦闘は回避され、江戸が戦禍から救われることになった、いわゆる「江戸無血開城」の史実をもとに描かれています。
ここでは勝海舟の肩書が陸軍総裁とされていて、海軍じゃないのかと思ったのですが、確かに彼は江戸幕府幕府陸軍最後の陸軍総裁なんだそうです。

 

そういえば以前芝浦方面で勤務していた時、田町駅の改札から三田側の1階へと降りるエスカレーターのところに「西郷南洲・勝海舟 会見の図」という壁画があったのを思い出しました。田町駅から地下鉄・三田駅のあたりにかけて江戸時代に薩摩藩蔵屋敷があり、ここが江戸城無血開城に向けて西郷隆盛と勝海舟が会見を行った場所だったんですね。田町駅の隣の三菱自動車工業本社前には「江戸開城西郷南州・勝海舟会見之地」の碑もありました。もう20年以上も前の話ですが、今も残っているんでしょうか?

 

この「麒麟児」読了で少し読書熱が戻って来て、同じく昨年から積読状態(こちらはリアルな積読です。)となっていた、周防柳「逢坂の六人」も読み終えました。こちらは古今和歌集を編纂した紀貫之が主人公で、とても面白かったのでまたブログ化できるか考えてみます。

 

 

 

 

 

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