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周防柳著「逢坂の六人」を読みました。

 

周防柳という女流作家の「逢坂の六人」という小説を読みました。昨年の今頃から積読状態となっていたのですが、ようやく読破しました。
最近私は積読とはいってもKindle内に保存しているものが殆どで、実際に積み上げているのは少ないのですが、この作品はその数少ない中の1冊です。周防柳さんの作品はKindle化されていないものが多く、以前読んだ「高天原」という作品もそうでした。

 

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「逢坂の六人」の「逢坂」とは、今の滋賀県大津市逢坂で、「逢坂の関」として有名な山城国と近江国の国境の関所があったところです。
このあたりの歴史や地理に疎い私でも「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関」という和歌は憶えていて、それで逢坂という地名も頭に残っています。風情のある地名ですよね。
ちなみにこれは百人一首に収められた蝉丸という人の歌で、恋の歌が多い百人一首にあっては異色の一首なのだそうです。

 

そして「逢坂の六人」の「六人」とは「六歌仙」のことで、「古今和歌集」の序文に記された六人の代表的な歌人を後世になって名付けたものであり、「僧正遍昭」「在原業平」「文屋康秀」「喜撰法師」「小野小町」「大伴黒主」の六人です。
この六人の内、喜撰法師は詳しい伝記などは不明ですが、古今和歌集の編者である「紀貫之」の変名という説もあるのだそうで、この本でもその説を採っています。「わが庵は都の辰巳しかぞすむ世を宇治山と人はいふなり」という百人一首の歌は私も憶えていますが、ここでは紀貫之が古今和歌集を編纂した宇治の庵で詠んだ歌という設定となっています。

 

古今和歌集の編者である紀貫之の目から見た、自身と他の五人を合わせた六歌仙にまつわる話が、当時の平安京、そしてその頃の感覚では都から遠く離れた辺境である逢坂周辺で起きる出来事を史実を交えて抒情たっぷりに描かれます
当初買ってはみたものの和歌などにさほど興味がないこともあって積読状態だったものが、読み始めるとたちまち引き込まれて2日ほどで読了しました。

 

作者の周防柳さんはまだ若くこれからもどんどん良い作品を書いて欲しいと思いますが、現代小説はとてもシリアスなテーマのものが多く、これまでちょっと手を出せずにいます。彼女の作品の中でこれまで好んで読んできた時代小説には、「身もこがれつつ-小倉山の百人一首」という、藤原定家を主人公とした作品があって、これは古今和歌集の紀貫之を主人公にした本作の姉妹編のような気もして、とても気になっているのですが、最近作という事もあってまだ文庫化されていないんです。ケチ臭いと言われるのですが、これは若い時からの習慣でもあり、実際文庫化される前の単行本で買ったのは、本当に文庫化を待ちきれなかった数作品しかありません。
またKindleで本を読むようになると、単行本と文庫本は装丁の豪華さや大きさといった差が全く無くなって、違いは発行時期だけですから、尚更単行本を買う気が起きなくなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逢坂の六人とは

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