奈良の友人宅で泊まった翌日は、そのまま三重方面へ出発しようと思っていたのですが、友人から、一緒に長谷寺、室生寺へ行ってみないかと誘われました。長谷寺には一度は行ったことがあり、室生寺はお初、と思うのですが記憶が曖昧です。
長谷寺は、初瀬(はせ・はつせ)の谷に沿って建つ寺で、名前の由来もそれだそうです。山の斜面に続く長い階段を上っていくと、境内のあちこちに雨に濡れた桜があり、「花の御寺」(有名なのは牡丹だと思いますが)と言われるだけあって、とても風情がありました。散り始めではありましたが、花はまだ十分残っていて、あいにくの雨がかえって境内の雰囲気を落ち着かせていたようです。京都の清水寺と同じ作りの舞台もなかなか立派で、広い境内を見下ろすことができます。この舞台からの眺めが長谷寺が「天空の御寺」とも呼ばれる理由なんですね。









続いて訪れた室生寺も、やはり山あいに建つ寺で、五重塔へ向かう石段を上っていくと、雨で湿り気を含んだ空気が広がっていて、長谷寺と比べて参拝者もまばらだったこともあって、とても静かな雰囲気でした。境内は深い森に囲まれていますので、歩くにつれて音が吸い込まれていく感じでした。
室生寺はその五重塔が有名で、とても可愛らしい小振りな塔だと思ったら、日本で最小の五重塔なんだそうです。もう少しすれば参道の両側に植えられた石楠花(しゃくなげ)が咲きほこり、それも名物となっています。
そして室生寺は、空海が興した「高野山の真言宗」=高野山(金剛峯寺)を根本道場とする真言密教そのもの、の直系真言宗でありながら、古くから女人の参詣を受け入れてきたために、女人禁制を守った高野山に対する呼び名として女人高野と呼ばれてきました。他にも女性の参詣を受け入れた女人高野はありますが、室生寺が最も有名です。真言宗の寺院は全国に数多くありますが、同じ真言でも宗派が違えば女人禁制ではありません。







室生寺の参拝を終えて、近くの蕎麦屋で昼食を食べ、電車で帰宅する友人を近鉄の駅まで送り届けた後は一人旅の再開です。
前々日和歌山に向かった時に通った名阪国道まで出て、三重県に入って最初に訪れたのは伊賀上野城です。伊賀盆地を見下ろす高台に建ち、白い天守が有名な高石垣の上に端正な姿を見せています。雨は上がりかけていて、城のまわりには桜がまだ多く残っていました。散り始めではありましたが、十分見ごたえがあり、天守の白と重なる景色が印象に残りました。





この日は名阪国道をもう少し進んで亀山市まで来たところで宿泊することにしました。亀山と言えば、かつてシャープがここ亀山市に最先端の液晶カラーテレビ工場を建設し「世界の亀山モデル」として大々的にPRしていました。今やそのシャープも中国(台湾)企業の傘下となってしまいましたが。
車中泊したのは、「道の駅 関宿(せきじゅく)」で、関宿は江戸時代の宿場町の姿がほぼそのまま残るため、「東海道で最も宿場町の面影が残る場所」と評価されているんだそうです。知っていれば行って見たんですが、桜の散り具合が気になっていましたので、今回は知っていても行かなかった可能性もあります。
関宿の近くには、古代三関の一つである鈴鹿関(すずかのせき)が置かれていて、それが現在の亀山市関町付近に位置していたことから、この「鈴鹿関」に由来して、周辺の地名が 関(せき) と呼ばれるようになり、宿場町として整備された際に 関宿 という名称になったということです。
我が千葉県の野田市にも同じ「関宿」という昔の宿場町があるのですが、こちらは「せきやど」です。