渋谷のBunkamuraにソール・ライター展を見に行ってきました。
そもそも私はソール・ライターという写真家の存在自体を知らなかったのですが、家内と娘に誘われて、息子も含め家族4人で出かけました。
「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」という写真展で、ソール・ライターはカラー写真のパイオニアと言われているんだそうです。
ソール・ライター(Saul Leiter) 1923年、米ペンシルベニア州ピッツバーグ生まれ。46年、画家を志してニューヨークへ。50〜70年代にかけて『ハーパーズ・バザー』『エル』『ヴォーグ(英国版)』などでファッションフォトグラファーとして活躍するも、81年に商業写真の世界から退く。2006年、シュタイデル社から初の写真集『Early Color』が出版され、一躍脚光を浴びる。カラー写真の先駆者として評価が高まるなか、13年に死去(享年89)。
この日、久しぶりに渋谷まで行き、ハチ公前、スクランブル交差点、道玄坂あたりの人ごみに今更ながら驚き、Bunkamuraまで人の波に流されるようにしてたどり着きました。帰りは18時頃になったのですが、下の写真より数段人出は増えてきており、今度は人の波に流されるというより、渋谷駅から吐き出され続ける人の波に逆らうようにして、ようやく渋谷駅です。子供たちは慣れたものですが、千葉での隠居生活に慣れてきた私は、この雑踏はもう勘弁という感じです。
それにしても「Bunkamura」という名前にはとても違和感があります。なんで文化村じゃだめなんでしょう?先日もブログで書きましたが、やみくもな欧米崇拝の名残を感じてしまいます。
「渋谷文化村」のほうがよっぽどいいと思うんですがね。
ソール・ライターの写真展は初めてでしたが、中の数点はこれまでどこかでお目にかかったことのあるものでした。1950年代に撮られたとは到底思えないような、全く古さを感じさせない(勿論被写体はその年代のものですので時代は感じます)写真に引き込まれ、時間を忘れて見入ってしまいました。
土曜日ということもあって、場内はとても多くの人で賑わっていましたが、ニューヨークの街を題材とした写真家ということもあってか、おしゃれ系の若い人の比率が高かったです。
内部は上の写真の一か所以外は撮影禁止ですので、興味のある方はネットででもご覧いただきたいですが、私は本の表紙にもなっている下の写真が一番好きになりました。
モノクロからカラーまで膨大な写真があるのですが、カラー写真の中でも、雨や雪で街がモノトーンに沈んでいる中に、下の真っ赤な傘のように一部分だけ鮮やかなカラーを配置する、というような作品がいくつかあって、それがとても印象に残りました。
できっこないことは判ってはいますが、こういうのができれば写真も楽しいでしょうね。
行き帰りでは、新しくなった東京メトロ銀座線の渋谷駅も初めて利用しました。ホームは広くきれいになり、混雑も緩和されそうですが、駅は使いやすくなったものの、JR等への乗り換えは逆に大混雑しているみたいです。
新型コロナウィルスが拡大し、都内でも感染者が発生したとのこと。
春節で来日する中国の人も多くなるだろうと思い、家族全員マスク着用、手洗い励行を申し合わせて行ったのですが、マスク姿の比率は普段とさほど変わらないようで、少なくとも都内ではマスコミの報道とはちょっと温度差を感じました。
ここのところ博物館とか写真展とかに行く機会が多いですが、今回のソール・ライター展が一番混みあった会場でした。
正直言うと、こういう博物館、美術館、展覧会系の場所での混雑はとても嫌いです。元々人混みが苦手ということもありますが、それ以上に、自分のペースで見られないことにストレスが溜まります。特に意識高い系の人の後ろに着くと進みが遅くてモヤモヤすることが多いですね。
更に、もっともらしい顔をして、真面目に見ていかなければいけないところ。これもストレスの原因です。
私の若い頃、クラシックを聴かせる名曲喫茶は既に絶滅危惧種でしたが、ジャズ喫茶(文字通りジャズを聴かせる喫茶店)はまだ結構ありました。そこには、煙草を片手に目をつぶり首を傾けたポーズで、自分の世界に入り込んでいる常連さん(すみません。完全に私の偏見による描写です)がほぼ例外なく居て、真面目に聞いていないと怒るよ、という雰囲気を全身から発散していました。私なぞは恐れをなしてそこからなるべく遠い位置に座ったもので、その時の居心地の悪さを思い出すのです。