奈良から同行した友人と、鳴門市にある「大塚国際美術館」を見学し、一泊した翌日は韓国駐在員仲間との宴会の為に香川に向かいます。
とはいっても夕方まで時間は十分ありますから、これも彼のアイディアで、徳島県鳴門市の寺院から始まり、四国を時計回りに高知・愛媛と回って、香川県さぬき市の寺院で終わる、四国八十八カ所の最初と最後の寺を回ろうということになりました。
1番札所は「霊山寺(りょうぜんじ)」で、発願寺(ほつがんじ)とも呼ばれます。一方最後の88番札所は「大窪寺(おおくぼじ)」で、こちらは「結願寺(けちがんじ)」です。発願寺と結願寺にお参りすれば、本当に結願したことにならないかななどと甘いことを考えましたが、当然そうはいかないようです。
四国で生まれ育ちながら、私にとっては今回が初めての巡礼です。勿論四国には88もの札所がある訳ですから、出身地の町内にも、通った学校の近くにも、それ以外でも本当に身近なところに札所がありますから、お参りしたこと自体は何度となくあります。ただそれをお遍路の巡礼としてやったことはなかった、ということなのです。
徳島空港そばのホテルから霊山寺まではクルマで10分程の近距離ですが、さすが1番札所だけあって、格式を感じる堂々としたお寺です。
これからお遍路の巡礼に出る人々が多くお参りしていましたが、真新しい装束や備品を見ると「頑張って下さい。」と声を掛けたくなります。なんちゃって巡礼の私は、思うだけで声は掛けませんでしたが、、。
霊山寺のお参りを終えてもまだまだ時間に余裕がありましたので、香川の88番大窪寺に向かう前に、この近くにある2番札所「極楽寺」にも行って見ることにしました。
鳴門市内にはこれ以外にもまだ札所はありますし、大窪寺に向かう道中にもたくさんの札所があったのですが、キリがありませんので、この日はこの極楽寺までとしました。
こちらも霊山寺に負けず劣らずの立派なお寺でしたが、友人は極彩色の山門がお気に召さなかったようです。品が無いと言っていましたが、私は竜宮城をイメージさせるようなこの山門は極楽っぽくていいんじゃないかと思いました。
そこからは道中に点在する札所もすべてパスする積りだったのですが、鳴門市の大麻町というところで、「第九の里(だいくのさと)」という道の駅に寄ってみることにしました。これは、第一次世界大戦中当地にあった「板東俘虜収容所(ばんどうふりょしゅうようしょ)」でドイツ兵捕虜によってアジアで初めてベートーヴェンの「交響曲第9番」が全曲演奏された歴史にちなんで名付けられたもので、近隣では結構有名な話です。
以前この道の駅に立ち寄ったことはあったのですが、敷地内にある「鳴門市ドイツ館」には今回初めて訪問しました。
ここでは板東俘虜収容所でのドイツ兵の生活や地域住民との交流を展示していて、第九初演のエピソードを映像とロボットで紹介する「第九シアター」はなかなか面白かったです。
ちょうどドイツからの(短期?)留学生と日本人の高校生が見学に来ていて、ドイツ人教師が日独両方の言葉で解説していました。
そこからは一路88番札所の大窪寺を目指しましたが、四国山地にどんどん分け入って行くと、なかなか険しい山々が連なっています。県境を越えたすぐのところにある大窪寺は、こちらも結願寺だけあって、趣のある堂々とした山寺です。
お参りを終えて門前にあったうどん屋で昼食としたのですが、何だかまだ徳島にいる気分で、祖谷そばを注文してしまいました。もう香川県だったのですから地元民としては当然ここは讃岐うどんとすべきところでしたね。