ここのところ巣籠り生活ですので、なかなか記事ネタが見つかりませんが、今日は私の記憶に残っている昔のCMについて書きます。
TVがお茶の間の王者だった時代、TVCMは各企業にとって最も効果のある宣伝媒体だったと思います。今でもTVCMがトップには違いないのでしょうが、2位以下との差はずいぶん縮まっていそうです。昔は圧倒的でした。
そんな中記憶に残っているのは、サントリーのオールドとレッドというウイスキーのCM、そして1980年代終わりから1990年代にかけての、コカ・コーラのCMです。
まずはサントリーオールドです。
小林亜星作曲のこの曲「夜が来る」を聞いて「ああ~」と思う人はもう立派な老年だと思います。ただ、スタートは1960年代と古いですが、最近では2000年代に入って、國村隼と伊藤歩のコンビで始まった「家族の絆」シリーズにも使われていて、この父と娘がいい味でしたから、若い人にも知っている人は多いでしょうね。
この「顔」というコピーは、壽屋時代から宣伝部に在籍した開高健が作ったもので、後になってこの曲に小林亜星自身が詞をつけ、「夜が来る」というタイトルにしたのだそうです。当時の壽屋宣伝部は開高健や山口瞳、イラストレーターの柳原良平(アンクルトリスってご存じですかね?)が在籍した最強の宣伝部でした。
サントリーオールドは、ダルマとよばれた丸っこいフォルムのボトルが印象的で、我々若造には中々手の出ない高級ウイスキーでした。スナックなんかでもオールドをキープしているとフフンという感じでしたね。その後リザーブやロイヤルといったブランドが台頭するまではサントリーの最高級ブランドでした。
酒が飲めない私でしたが、この頃は飲めないからと言って許される時代でもなく、嫌々ながらも場数は踏んで、酒の知識もそれなりには付いてきていました。今ではアルコール・ハラスメント(アルハラって言うんですかね?)という言葉もあるらしく、下戸にとっては住みやすい世の中になったと思います。
そしてサントリーでは、大原麗子が出演した「少し愛して、長~く愛して」というキャッチコピーのレッドのCMも忘れられません。
大原麗子さん、とってもチャーミングでした。レッドはどちらかというと安物のウイスキーで、学生時代、吞兵衛の仲間はこのレッドかトリスというのが定番で、ちょっと頑張ってホワイト、角瓶まで行けば富豪!という感じでした。
バイト仲間の一人が、酒の上の狼藉でアパートの大家さんの逆鱗に触れて追い出され、数か月私の部屋に転がり込んできたことがあったのですが、彼はもうアル中一歩手前ではないかというくらい酒を手放せない人間でした。その彼はナイトキャップと称して、トリスをロックグラスになみなみ一杯ストレートで注いで、それをほぼ一息に飲み干してから寝る、というのが日課でしたが、この飲み方では角瓶やオールドでは破産してしまいます。彼はトリスの大瓶(多分1800ml)を常備してました。
レッドは高級ウイスキーとは言えませんでしたが、CMは最高級だったと思います。大原麗子さんは、我々もそうですが、もう一世代上の紳士諸氏を騒がせた女優さんだったと思います。
次はコカ・コーラです。サントリーが完全な大人の世界なのに対して、若さ、爽やかさを前面に押し出したCMで、松本孝美さんという女優さんがとても人気でしたが、登場する若者たちがまさにバブルの申し子という雰囲気です。これは見てもらうしかないですね。
サントリーオールドはCM曲とコピーの素晴らしさ、サントリーレッドは大原麗子さんの魅力と彼女の語りの秀逸さ、コカ・コーラは全体にあふれる若さ、明るさ、爽やかさが魅力と言えるでしょうか?
現在のTVCMで、何十年か先になってからこのように評価されるのはどのCMなんでしょうね?
(この記事は画像と音がないと成立しませんので、Youtubeからリンクを貼ってみたのですが、旨く貼れているのか、著作権等は大丈夫なのか、今一自信がありません。怒られたら削除することにします。)