シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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ムヒカさんの生き方

 

この間、妻が(今後は「妻」と呼ぶことにしたのですが、これまで「家内」と言い慣れていましたのでまだ落ち着きが悪いです。)「世界一貧乏な大統領」として有名なウルグアイのムヒカ元大統領のTV番組を観ていました。

 

私は自分の部屋でほかのことをしていて、飲み物を取りにリビングへ来た時にちょっと眺めただけなのですが、ちょうどその時、「もう残り少ない人生で十分な程のお金は稼いだ。」というセリフと、収入の9割を社会基金に寄付し、10万円ほどの生活費で暮らしていたことが語られていました。
ホセ・ムヒカさんについては色々なところで取り上げられていますのでご存じの方も多いと思いますが、若い頃はウルグアイの革命の闘士であり、軍事政権下では10年以上も投獄されていたのだそうです。

 

彼は大麻の合法化等思い切った施策で賛否両論を巻き起こした大統領でもあります。大麻合法化というと我々日本人はええっと思いますが、世界ではこのウルグアイとカナダが大麻を合法としており、州や地方単位ではアメリカ始め合法化している国は数多くあります。要は大麻が非合法であることで取引が地下に潜り、犯罪組織の資金の源泉となっているのを合法化し、国がきちんと管理をする、ということなのですが、医療用としての効果に加えて、嗜好品としての大麻も危険性はアルコールよりも少ないという主張もこれを後押ししているようです。禁酒法時代のアメリカのギャングの暗躍をイメージした施策なんだと思いますが、今時点でウルグアイ内外での評価もまだ定まってはいないようです。 


そして冒頭の「もう残り少ない人生で十分な程のお金は稼いだ。」というセリフの部分です。こんなことを考えるようになったのも私が年を取ってきたからなのでしょうが、とはいってもまだ私はムヒカさんほどの高齢ではありませんし、いくら貧乏でも仮にも一国の大統領と収入を比べることもできませんが、仮に彼と同様な境遇だったとしても、こういうセリフを吐けるかどうか、全く自信はありません。いくら稼いでいても、もうこれで十分だとは思えないような気がします。
また彼は国連での演説で「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲望があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」とも語っていますが、私の場合はそれにも当てはまるんでしょうね。

 

そういえば「足るを知る」という言葉を聞いたことがあるなと思って調べてみると、それは老子の「道徳教」という書物に出てくる「足るを知る者は富む(知足者富)」という言葉で、自分にとって必要なものや持っているものの大切さを知っている人は、貧しい生活をしていても精神的に豊かである、という言葉でした。ここでいう「富む」は、金銭的な富とは全く違うものですね。ムヒカさんが老子を知っていたのかどうかは分かりませんが、彼の生き方はまさにこの老子の教えを体現していると思います。

 

ただ、人間はいつ死ぬか事前にはわかりませんので、たとえ年間数千万ずつ使い続けても何十年経とうが安泰という超富豪は別ですが、今時点でどれくらいの収入、資産があれば安心できるかというのは、その金額が数百万であったり、数億円であったり、人それぞれの価値観によって違いはあったとしても、やはり難しい問題です。

 

ムヒカさんのように老子の説く達観した世界にたどり着けそうにない私としては、まだまだ思い悩むことが続きそうです。

 

 

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