前回東京ビッグサイトでの仕事の事を書きましたが、その最終日の昼食時に結構面白いことがありました。
ビッグサイト内のレストランはそんなに沢山は無いですから特定されないように書きますが、まずホールの人手不足で客の誘導、注文取りが全く追い付いていません。店内には空き席がかなりあるにもかかわらず、入口前に並べられた椅子に座って5~10分待っても一向に案内されません。
そしてようやく案内されたと思ったら今度は注文を聞いてくれず、これは私だけのことではなくてあちこちで「すいませ~ん」という声がかかっていたのですが、一人しか見当たらないホール係は私と同年配と思しき年配の男性で、汗をかきながら走り回っているのがはた目にもわかりますから、私含め皆さん「仕方ないなあ~」という感じでおとなしく待っていました。ようやく注文を終えて料理が運ばれてくるまでもかなりの時間がかかったのですが、この頃には皆さん自分がこの店を選んでしまったからこうなったんだというあきらめにも似た境地だったようで、私もまったく同感でした。
ただ私には運ばれてきた料理を見てもう一つ驚きがあったのですが、「特製和牛〇〇〇、、」を選んだつもりが、来たのはどう見ても「牛スジ〇〇〇、、」です。確かに、これは「和牛の」スジ肉だなんだと言われればそれまでですし、羊頭狗肉というのは当たらないのかも知れませんが、これはあんまりだというのが実感でした。ただこの頃には上記の通りもうあきらめの境地でしたから怒る気にもなれませんでしたし、味そのものは結構良かったので、最初から「牛スジ〇〇〇、、」としておいてくれれば満足感は高かったと思います。
そしてこれで終わりではなくまだ締めくくりがありました。
客の多くは今回の展示会の出展社の方々らしく、早く現場に戻りたいという感じで(これまでかなり時間がかかっていましたから、、)食べ終わるとすぐにレジに並んでいたのですが、そこで突然レジのドロアー(現金の入っている引き出し)が開かなくなるという事態が勃発。ホールに一人しかいない嘱託?パート?のおじさんが汗をかきながらレジをいじくってもどうにもなりません。そこでようやく厨房にいた店長?社員?らしき人を呼んできたのですが、彼にも対処はできず手詰まりです。そこでおじさんは並んでいる客のところに来て、「お釣りのいらないぴったりの金額で精算できる方はいませんか?」と聞いて回り始めました。私はビッグサイト内は電子マネーがほぼどこでも通用するので小銭は持って来ておらず現金は札だけ、前の人も皆同様みたいでした。万事休したおじさんは再びレジに戻り、レジを押したり引いたりしゃがんだりしている内に、突然「うっ!」とうめいたかと思ったら腰を押さえてレジカウンターにうずくまります。まるでコントみたいですが実際私も数週間前にギックリ腰になりかけたばかりなのでその状況はよくわかり、怒るどころか心配になりました。しかしこのおじさんも腰痛持ちのベテランらしく、痛む腰をなだめながらそろそろと動いていましたから、ひとまずは安心。しかし清算できないとどうするのかと思っていたところ、クレジットと電子マネーは使えることが判り、そこから列が動き始めました。私の前の人はすべてこれで精算できましたし私も初めから電子マネーの積りでしたから無事持ち場に戻れましたが、後ろの人で札しか持っていない人にどう対応したのかは気になるところです。
この日この店では、客が怒り始めても不思議ではないタイミングが、考えられない位連続して起きたのですが、汗をかきながら走り回っていたおじさんのおかげで噴火せずに済んでいるなあと思って見ていました。そして最終の仕上げが「うっ!」と呻きながら腰を押さえてうずくまる場面で、これを見て怒鳴れる客はそうそう居ないと思います。この店はこのおじさんに店長以上の報酬を払っても十分だと思いますし、もしこのおじさんの最後の場面が演技だったとしたら、アカデミー賞助演(主演?)男優賞ものだと思います。