「はばのり」というものを御存じでしょうか?「のり」は「海苔」で、外房地区の郷土料理である「はば雑煮」などに使われる海苔の一種です。
元々は海辺の村の婦人などが冬から春の大潮のときに採集して、浅草海苔の代用品として自家消費されたもので、家庭で作られたものは不揃いで隙間も多く、いかにも田舎っぽく野暮ったい食べ物とされていたのですが、現在ではその素朴さと希少性がうけてか、相当な高級食材となっています。
特に千葉県東部(外房)山武郡周辺では、お正月の雑煮に欠かせない食材です。醤油で味付けし焼いた切り餅を入れて雑煮を作り、揉んで細かく砕いたはばのりをたっぷりかけたはば雑煮を食べるのですが、正月三が日は女性は台所に入らず、雑煮は男が作るので簡単になっているのだそうです。鰹節の削り節を混ぜることが多く、最近でははばのりが高価であるために青のりを混ぜることもあり、ご飯にかけて少し醤油を注いで食べたり、にぎりめしや餅に貼り付けて食べたり、そのまま酒のつまみにする人もいるのだとか。
我が家でも数年前に外房出身の知人から教わってお雑煮に使うようになったのですが、高級食材化していますから、我が家では最初の写真の「はばのり」が少しだけ入ったお雑煮セットがやっとです。確かにこの製品にも鰹節、焼きのり、四国産青のりも混ぜてあることが明記されていますが、風味を増すため、といったうまい言い回しがされています。
その下には楽天で販売されているはばのり単体を紹介しておきますが、この驚きのお値段を御覧下さい。たかが(失礼!)海苔3枚の値段ですよ!?
何で今更正月の食材なんだと言うことですが、この日のんびり起き出してみると妻は既に義父母宅に出掛けていて、食卓に私用の「お昼ご飯セット」が残されていたのです。
最近妻は義父母宅(妻にとっては実家)に出掛ける時、義父母と自分用に簡単な昼食を用意して行くことが多いのですが、この日も下の写真のおにぎりセットを昼食として持って行き、ついでに私の分も作っておいてくれたのです。
そしてインスタントの味噌汁か何か無いかなと探していて、正月の雑煮で使って残っていた、上の写真の「はば入りお雑煮セット」を見つけた、という訳なのです。
早速インスタントの「松茸のお吸い物」に入れて飲んだのですが、それだけでちょっとお正月気分になりました。
それにこのおにぎりセットは、我が家恒例の初日の出・初詣の際のお弁当セットとよく似ていますから、尚更お正月気分が呼び覚まされたのかも知れません。
正月が過ぎて、食器棚の引き出しで忘れられかけていたはばのりセットですが、賞味期限は夏までありますから、味噌汁などに入れてせいぜい消費していきます。焼きそばや雑炊に振りかけても美味しいと説明書きにはありますので、それも試してみたいと思います。