3日間福島・栃木で仕事をして帰って来た翌日、妻と千葉県匝瑳(そうさ)市にある「松山庭園美術館」に行って来ました。
匝瑳もかなりの難読地名ですが、最古の記録はなんと奈良時代のものです。語源には諸説あって、「そうさ」⇒「さふさ」は「狭布佐」とも書かれ、「狭」は美しい、「布佐」は麻を意味し、「美しい麻のとれる土地」であるというのが有力な説、他には「ふさ」は下総国最大の郡であることに由来するという説などもあるそうです。どちらも「さふさ」という読みを基にしているんですね。
もう亡くなってしまいましたが、「ちい散歩」などでお馴染みだった俳優の地井武男さんがここの出身で、彼が匝瑳愛を熱く語っていたことで私はこの地名がすんなり読めるようになったのです。
松山庭園美術館は芸術家「此木三紅大(このきみくお)」のアトリエと住居の一部を開放してできたのだそうですが、猫のいる美術館としても有名らしく、娘と彼氏が行って来た時のことを聞かせてくれて、初めてその存在を知りました。
我が家からクルマだと千葉ニュータウン、成田空港を抜けて犬吠埼へ向かう道を進んで多古町を過ぎればそこが匝瑳市です。
電車だとJR八日市場が最寄り駅ですが歩ける距離ではなく、バスも便数が少なく不便ですからタクシーでの往復が無難そうです。3~4kmの距離ですから片道2,000~3,000円でしょうか。
成田の市街地を抜ける頃に丁度お昼時となりましたから、ネットで調べて適当に入ったのが「翁本家」という日本食の店です。店の前の通りは何度となく走っていますので存在は知っていましたが入るのは初めて、老舗らしい立派な店構えで中も広かったです。私は西京焼き(魚の名前を忘れました。)のランチを頼んだのですが西京焼きよりもトンカツと刺身の方が存在感があり、西京焼きは隅っこでした。西京焼き以外が定番メニューで、それに日替わりで西京焼き・塩焼き・煮魚等を合わせている感じなんですかね。
ここから更に40~50分走って着いた松山庭園美術館は、匝瑳市松山という所にあるのでこの名前なのですが、このあたり北総台地(下総台地)にはゆるやかな高台と谷津田(やつだ)とよばれる平地に水田が広がっています。そして谷津田の周囲に点在する島状の丘や森は、地形的には「舌状台地(ぜつじょうだいち)」などと呼ばれることがあるのだそうで、確かに航空写真で見ると舌にも見えますが、もっと複雑に入り組んでいてむしろアメーバと言った方が近いです。
この美術館もその舌状台地の上にあって、高さは数メートルに過ぎませんが、開け放った窓に、見下ろす谷津田を渡って吹いてくる風がとても気持ち良かったです。
この美術館では毎年「猫ねこ展」というものが開催されていて、今年が第22回なのだそうです。下の最初の写真が今年のグランプリですが、その他にもたくさんの絵画・写真、彫刻・陶芸などの造形作品が展示されていいて、私は3枚目の土偶のような作品のちょっと悪そうな表情が大好きでした。
展示物がある本館の屋内でも寛ぐ猫たちがいて、猫好きにはとてもお勧めの美術館です。この日は平日とあって離れの座敷は我々夫婦がほぼ独占状態で、縁側でマグロ状態となって寝ている猫を撫で放題でしたが、とても人懐っこい猫たちでその間ずっとグルグル言っていました。