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万城目学「パーマネント神喜劇」と浅田次郎「憑神」

 

先日の「バベル九朔」に続いて、万城目学の「パーマネント神喜劇」という小説を読みました。最近我が家の愛猫「ロク」に妻と交代でつくことが多くなり在宅比率が高まっていますから、読書や映画鑑賞に使う時間も少し長くなってきました。

 

 

 

 

「パーマネント神喜劇」という題名だけでは何のことかわかりませんが、万城目学作品はこれに限らず題名で中身を想像するのは難しく、この作品も、神が登場する喜劇なのか?ということくらいは想像できても、パーマネントが全く意味不明です。

 

前回読んだ「バベル九朔」は、面白かったものの、今一つ感情移入できないところも残りましたので、今作には期待もしていました。
結論から言うと大変楽しく読み進み、読後感も良かったです。前回も書きましたが万城目学はこれまでとても好きな作家でしたので、また読み続けられそうなのは嬉しいです。

 

この作品でちょっと思い出したのは、昔読んだ浅田次郎の「憑神」という小説で、ホラーの香りのする題名とは裏腹に、浅田式の軽妙な語り口の小説でした。浅田次郎は泣かせの名手で、「壬生義士伝」などは涙無くして読めませんが、またこの「憑神」のような小説で最後に泣かせることも大得意です。こんな言い方をするとファンの方から叱られるかも知れませんが、お笑いがありその中に涙もありというところは松竹新喜劇的だなあとずっと思っています。

 

 

またこの作品は、下の通り妻夫木聡主演で映画化もされたそうです(私は今回まで知りませんでした、、)から、映画で観たという方も多いかも知れません。

 

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パーマネント神喜劇も、ストーリーこそ全く違いますが、神が登場するところや、笑いを織り交ぜながら伝えたいテーマは結構重い、という点は憑神と共通しているのかなと感じました。
そして前回感じた違和感は、

今回も万城目ワールド全開で、日常から非日常に引き込まれていくあたりのストーリーはとても面白かったです。しかし以前程には没入できない感じがしたのは、随所に出てくる「ボケ」と「ツッコミ」的な会話の応酬に醒めてしまったということが大きいと思います。万城目氏の作風が変わったのではなく、以前なら受け入れていた笑いのツボから私が歳取ってズレてきたんでしょう。最近とみに多くなったコミック原作のドラマに醒めてしまうのもそこに原因があるような気がします。

ということだったのですが、前回の「ボケ」「ツッコミ」的な会話の応酬が若者言葉全開だったのに対して、今回は優柔不断な主人公の中年オヤジギャグ満載という点が違っていて、こちらには違和感を覚えなかったということは、やはり単なる世代ギャップだったのでしょう。

 

そういえば、長い間読もうと思いながら読めていなかったサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を昨年ようやく読み終えたのですが、その時に感じた違和感と今回の根っこは同じなのかも知れません。

 

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映画についても書籍についても、中身については極力触れないようにする、いわゆるネタバレをしないというのが私自身の決め事なのですが、それは、昔読書感想文を書くのに苦戦したことと似たところがあります。
読書感想文には規定枚数があって、それをこなすためにはあらすじで水増しするのが一番手っ取り早いのですが、そうすると低評価を食らうのもわかっていて、あらすじなしでどう規定枚数をこなそうかと毎回苦しんだものです。
ブログの場合は、ネタバレ(あらすじを書く)を前提とした紹介記事にすることも当然できますし規定枚数もないのですが、自ら決めた「ネタバレしない」「文字数は1500字前後」というルールに、今回も学生時代のように苦しむことになりました。

 

 

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