シニアライダーの日常・R1200Rと共に

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桜桃忌、太宰治の命日に三鷹の禅林寺にある墓所に行ってきました。

 

6月19日は太宰治が亡くなったことを偲ぶ日、桜桃忌でした。
彼は愛人と共に6月13日に入水自殺したのですが、発見されたのが19日で、奇しくもこの日が太宰の39回目の誕生日でしたから、この日を命日として桜桃忌と名付けたのだそうです。太宰はサクランボが好きだったので、晩年の短編「桜桃」にちなんで友人たちが命名したのだとか。ただ年表などを見ると死亡日は入水した6月13日となっていますので、正式な命日はこの日ということなんでしょう。

 

桜桃忌は太宰の生地である青森県や、新婚時代に暮らした山梨県でも営まれているようですが、やはり墓所のある三鷹市が有名です。三鷹駅から徒歩でも15~20分位の禅林寺というお寺に太宰の墓はあり、生前彼が森鴎外の眠るこの墓地が気に入って、その近くで眠りたいという趣旨のことを書いていたことから、ここに葬られたのだそうです。
若い頃は太宰病とでもいえそうなほど太宰に熱中したこともありましたので、一度は行ってみたいと思っていたのですが、引退して暇になったと思ったその翌年にはコロナ禍が始まってしまい、今回やっと果たすことができました。

 

4月に東北三大桜ツアーで太宰の生家がある五所川原市金木を訪問し、太宰のことを久しぶりに思い出していたところでしたが、当初この日は終日仕事の予定で、訪問は来年以降に持ちこしだなと諦めていました。ところが当日の朝になって急遽予定変更となり、一日フリーとなりましたので、天気も良さそうですし散歩がてら(というには千葉の我が家から三鷹は遠いですが、、)行って来ることにしました。

 

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ただ考えてみれば桜桃忌の語源となった「桜桃」という作品は読んでいないことに今更ながら気付き、三鷹へ向かう電車の中で、Kindleに青空文庫をダウンロードして、読みながら行くことにしました。本当に便利な世の中になったものです。本好きな若者には願ってもない環境だと思うのですが、現実には本離れが進んでいるようで、うまくいかないものです。
短編ですからすぐ読めるのですが、読み始めてすぐに何だか既読感が、、。やっぱり読んだことありました。ただ、読み返しても思い出さない個所も多く、結構新鮮でした。最近では本に限らず映画などでも同様なことが増えており、やはり老いを感じますね。

 

三鷹駅から禅林寺に向かって歩き、お寺が近付くにつれて、かつての文学青年、現役の文学青年と思われる男女が目に付くようになり、お墓にもお参りの人が次々と訪れていました。
門前にはボランティアガイドの方もいらっしゃいましたが、お寺として何か桜桃忌の行事をしているようでもなく、ただ同好の士が集まって太宰治を偲んでいる、という雰囲気でした。
桜桃忌ですからサクランボをお供えするのが決まり(?)らしく、多くのサクランボが供えられていましたが、墓碑銘の隙間にまでサクランボを押し込んであるのは、個人的には疑問でした。何だか口に無理やり押し込まれているように見えて、太宰は閉口していると感じてしまいました。そもそもこういう敬われ方は苦手そうですし、、。

 

 

墓石には本名の津島修治ではなく太宰治の名が彫られています。ペンネームを墓石に彫るというのもやや違和感があり、隣にはちゃんと津島家の墓というのもあるのですが、彼は入水自殺という突然の死ですから、桜桃忌という言葉を選んだという友人たちの発案なのでしょうか?
生前太宰自身が森鴎外の近くで眠りたいと話したことから、ここ禅林寺に葬られたとの事ですが、本当に森鴎外の墓のすぐ斜め前に墓はあります。そして森鴎外の墓には本名の森林太郎という名前が刻まれていて、これが故人の遺志なのだそうです。個人的にはその方が腹落ちします。

 

 

お参りを終え、中央通りという大通りから2本中に入った、禅林寺通りという道を歩いて帰ったのですが、ここは中央通りと違って人通りも少なく、のんびり歩いて帰るにはとても気持ちのいい道でした。
そしてこの道の終点近くにあった「卵と麦」というパスタの店でタコとベーコンのパスタを食べ、予定よりも随分早く仕上がったR1200Rをディーラーに受け取りに行って、私の最初の桜桃忌まいりが終了しました。

 

 

 

 

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